新・ことば事情
5770「重大インシデント」
6月3日、自衛隊のヘリコプターが誤って沖縄・那覇空港の滑走路の前の上空を横切り、離陸直前の民間飛行機が、離陸を急遽中止し、後ろから着陸して来た旅客機との距離が、わずか400メートルという事態が起きました。
国土交通省は、大きな事故につながる可能性がある、
「重大インシデント」
として、事故調査官を派遣しました。
最近、時々ニュースに出て来るこの
「『インシデント』という言葉の意味が分かりにくい」
という意見が視聴者から入ったが、各局はどのようにこの言葉を使っているのか?という意見&質問が、4月下旬に開かれた用語懇談会放送分科会の席で出ました。その際は、
「『大事故につながる恐れのある』など説明をつけながら使っている。」(MBS)
という意見に代表されるように、各社とも説明を付けて「インシデント」を使っているとのことでしたが、中には、
「『言い換えを考えないといけない』というデスク・クラスの議論もあるが、法的に決まっている言葉なので、難しいという話に・・・。」(テレビ朝日)
という意見も出ました。
きょう(6月4日)の各局のニュースを見ていたら、
「重大なアクシデントにつながりかねない『重大インシデント』」
と、なんだか"重複感満載"の表現で放送している局もあり、視聴者の方が、
「よく分からない」
というのも、よく分かります(?)
「"重大な事故の一歩手前"の『重大インシデント』」
で、いかがでしょうか?これでも「重複感」がありますが・・・。