新・ことば事情
5767「ワウリンカか?バブリンカか?2」
平成ことば事情5657「ワウリンカか?バブリンカか?」の続報です。
2015年2月に開かれた新聞用語懇談会の放送分科会で質問してみました。
『テニス全豪オープンでの、錦織選手の準々決勝での相手は、「ワウリンカ」「バブリンカ」どちらの表記・発音を使っているでしょうか?
(読売テレビ)「ワウンリンカ」
(NHK)「バブリンカ」
(読売・朝日・毎日・共同通信(=産経・日経)「ワウリンカ」
でした。』
各局の委員の回答は。以下の通りでした。
(NHK)「バブリンカ」。スイスの選手なので、ドイツ・フランス語の「現地読み」の原則に従っている。
(日本テレビ)「ワウリンカ」
(TBS)共同通信準拠で「ワウリンカ」、「マリー」。
(フジテレビ)「ワウリンカ」
(テレビ朝日)「ワウリンカ」
(テレビ東京)「ワウリンカ」
(WOWOW)「バブリンカ」。ドイツ系スイス人なのでドイツ語読みすると、実況アナウンサーが話していた。「英語」と「現地読み」で名前が違うケースがある。たとえば、
(英語) (現地読み)
エドバーグ エドベリ
ドキック ドキッチ
など。ただ、「テニス」は「英語」が標準だ。松岡修造氏は、NHKとWOWOWで解説をするときは「バブリンカ」と言い、テレビ朝日で解説する時は「ワウリンカ」と使い分けているので偉い。また、審判がどうコールするかも考慮すべきだ。
(共同通信)「ワウリンカ」。「共同記者ハンドブック」では、「現地の発音に近い音」を採ることになっており、それによると、ドイツ語の「W」は「ワ」。ファーストネームも共同は「スタニスラフ」としているが、NHKは「スタン」だ。ウィンブルドン大会のサイトでは、英語で「STN(スタン)」となっていた。
(NHK)ATPのサイトは「スタン」で登録されている。
(ABC)「ワウリンカ」、「マレー」。
(MBS)「ワウリンカ」だが、スポーツアナウンサーに聞くと「ちょうど『ワ』と『バ』の中間なんだよね」と。
(KTV)「ワウリンカ」
(TVO)昔、現地音で「クライシュテルス」という選手が、大会の英語表記で「クリスター」となっていて、まるで別人のようだった。
(読売新聞)「ワウリンカ」。スイス人なので、ドイツ語の「W」で「ワ」。フランス語の「W」は「ヴ」。フランス人に「W」が付く人がいるのか?「スタニスラフ」は、登録名を「スタン」に変更した。
ということで、統一は難しそうですね。
(2015、6、4)
(追記)
そのワウリンカ選手が、全仏で、ジョコビッチ選手を破って初優勝を果たしてしまいました!すごい!これで、統一されるかどうか・・・。
グーグル検索では(6月9日)、
「ワウリンカ」=137万0000件
「バブリンカ」= 43万2000件
ということで、
「ワウリンカ:バブリンカ」=「3:1」
ぐらいで「ワウリンカ優勢」でした。