新・読書日記 2015_071
『超明解!国語辞典』(今野真二、文春新書:2015、3、20)
結構、タイトルは軽い感じで、今野先生の本としては読みやすそうな感じ、と思った。帯には、7種類の国語辞典の背表紙の写真が並んでいる。「集英社国語辞典」「岩波国語辞典」「三省堂国語辞典」「明鏡国語辞典」「新明解国語辞典」「新撰国語辞典」「角川必携国語辞典」の7種類だ。私が持っている(使っている)のは、このうち「岩波国語辞典」「三省堂国語辞典」「明鏡国語辞典」「新明解国語辞典」「新撰国語辞典」の5種類であるから、大体、特徴は分かっているつもり。帯の文字は、
「7つの辞典 計53万語を 辞書探偵がとことん調査する!」
「辞書探偵」は「赤字」で強調されています。それだけ全部調べる時間もないし、やる気もないし能力もないので、ここは先生にお願いして、その結果だけを読ませて頂きます。
昔、日本新聞協会用語幹事だった金武伸弥さんが『広辞苑は信頼できるか?』という本を出されて、辞書の「品定め」をやったことがありますが、この本も「辞書には個性があり、それを分かった上で使い分けを」という趣旨だと思います。
この本では、7つの辞書に「何が載っていて、何が載っていないか」を、昔の「暮しの手帖」のようにチェックされているのだが、93ページ~98ページのところは、最初に「どの辞書か」は書いてあるのだけれど、途中のページにはそれがないので、大変読みにくい!各ページごとに「何という辞書か」を書くべきで、これは編集者の責任だと思う。読みにくいでしょ、これ。私は自分で書き込みましたよ。というより「表」にしたほうが分かりやすいよね。
1冊の辞書にしか載っていない、という見出し語は、正にその辞書の「個性」ですよね!「三省堂」がラグビーの「ノックオン」や、サッカーやバスケットボールの「スローイン」を見出しにしていないとは知らなかった!
106ページ北原白秋の『邪宗門』(明治42年)を読もうとした時に、出てくる単語が載っているかどうか?という"実験"は、面白いと言えば面白いけど、ちょっと疑問。
「明治四十二年に刊行された『邪宗門』を読むのに『集英社』と『新撰』は役立つだろうということだ。その一方で、『岩波』『角川』『明鏡』は十分な情報を与えてくれない」
とあるのだが、その場合は「古語辞典」を引けばいいのではないか?高校生なら持っているだろう。そもそも『邪宗門』を読もうというぐらいの人は「古語辞典」を持っていると思う。持っていない人は『邪宗門』なんて絶対に読まない。私も読んだことがない。「古語辞典」は、高校のときのがあるけれど。
この2点が、この本の中で疑問に思ったところでした。
でも、それ以外は、大変勉強になりました。