新・ことば事情
5740「大涌谷と小涌谷」
神奈川・箱根山での火山活動が活発になって来ているというニュースでよく出てくる、
「大涌谷」
という地名の読み方は、
「おおわくだに」
ですね。
「涌」=「わく」
と読みます。関東の方は「当然でしょ」という感じでしょうが、関西人にとっては、それほど耳慣れた地名ではありません。「ミヤネ屋」ではスーパーに「ルビ」を振っています。
そのニュースを担当しているスタッフの島(デスク)のほうから、
「『こわくだに』も・・・」
という声が聞こえて来たので、
「それは『こわくだに』ではなく、『こわきだに』だよ!『小涌園(こわきえん)』というホテルもあるし」
と、注意を促しました。
しかし、なぜ「大涌谷」は「わく」で、「小涌谷」は「わき」なのでしょうか?「大」と「小」が対になっている、
「大歩危・小歩危」
の場合も、漫才コンビの名前も
「おおぼけ・こぼけ」「おぼん・こぼん」
と「おお」「こ」の後の読み方は「ぼけ」「ぼん」で「同じ」なのに。
不思議ですねえ。
そんなことに気を取られていたら、「ミヤネ屋」のスタジオのマルチ画面に、
「大湧谷」
という誤字が1か所出てしまったようです・・・「おおわくだに」で変換したら、こんなミスはないはずなのに・・・・もう!!
(追記)
用語懇談会でご一緒しているNHKの原田邦博さんからメールを頂きました。
『「小涌谷」には2つの読みがあります。
地名は「コワクダニ」なのですが、
箱根登山電車の駅名は「コワキダニ」、
「小涌園」は「コワキエン」です。
火山関係のニュースなら「コワクダニ」になります。』
そうだったのか!
もともとは「大涌谷(オオワクダニ)」と同じく「涌」を「ワク」と読んで、
「コワクダニ」
だったものが、旅館や駅の名前が「涌」を「ワキ」と読む、
「コワキダニ」
になったことで有名になって来て、「ワク」「ワキ」両方の読み方が出ているということですね、きっと!
地名は難しいです。。。。
(2015、5、14)