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『道浦TIME』

新・ことば事情

5734「先月以降」

神奈川・箱根で火山性の地震が、4月25日から増えている問題で、5月4日のテレビ朝日のニュースを見ていたら、

「先月以降、急速に増えている」

というような表現をしていました。これに少し引っかかりました。ここは「以降」ではなく、「以来」を使って、

「先月以来」

とするほうがピッタリする気がします。

「以降」と「以来」はどう違うのか?私の語感では、「以降」も「以来」も「○○から後」という意味では共通していますが、

*「以降」=現在までは続いていない感じ

*「以来」=現在まで続いている感じ

がします。

『精選版日本国語大辞典』を引くと、

*「以降」=ある基準となるときからあと、または、今まで。以後。

*「以来」=(多く時、年齢、事件などを表す語について)その時点を含み、それより後ずっとの意味を表す。(イ)過去のある時点、また、ある年齢を起点にしていう。・・・よりこのかた。・・・からずっと続いていること。(ロ)現在を起点にしていう。今より後ずっと。現在を表す語が上につく場合と、単独の場合とがある。

と書かれていて、さらに、

「『以後』の語誌を見よ」とあるので見てみると、

『(イ)(=過去や未来のある時点、また、ある年齢を起点にしていう。・・・よりのち。)と同様に、「以降」「以来」も、年月日時、年齢、事件等を受けて、ある事柄の起こる期間の始点を示すが、「以来」の基準は過去の時点に限られ、「以降」は主として継続的な事柄に関して用いられる。いずれも時点として示される日時・年齢等は、問題の期間を含めるのが通例である。(「十二日以後」は十二日を含む)。なお、「後(ご)」は事件を基準にし(「震災後」「退院後」など)、また期間を示して事柄の起こる時点を指定する(「開通二年後」など)。』

とありました。うーん、難しい。それに「起点」についての記述が主ですね。

「以降」も「以来」も「現在まで続いている」ような書き方です。

もしかしたら「現在まで続いているかどうか」というより、

*「以降」=書き言葉的

*「以来」=話し言葉的

という違いなのかもしれないです。そんな気がしてきた。

(2015、5、4)

2015年5月 6日 10:46 | コメント (0)