新・ことば事情
5728「テーザー銃」
4月8日の「ミヤネ屋」の「250」ニュースで、
「テーザー銃」
という言葉が出て来ました。初めて聞いた(見た)言葉です。「チャーザー村」なら「笑点」で聞いたことがありますが。
調べたところ、どうやらこの「テーザー銃」というのは、
「スタンガンの一種」
のようです。
ネットの「ニコニコ大百科」というサイトでは、
「テーザー銃(Taser)とはスタンガンの一種で、有線の電極が空気圧で射出されるもの。商品名。非致死性武器の一つ。アメリカで開発され、各国の警察や刑務所で使用されている。
Taser Internationalというアメリカの会社が開発したスタンガンの一つ。外観は拳銃の様だが、スタンガンなので実弾を発射する機能はない。通常のスタンガンと異なるのは、電極が射出されて相手に刺さること。電極と本体とは数メートルのワイヤーで繋がっており、本体で発生させた電流はそのワイヤーを伝って電極に流れる。(以下略)」
と詳しく説明がありました。
ちょうど「新聞用語懇談会放送分科会」が4月下旬にあったので、その席で、各社はどう表現しているか聞いてみました。
『アメリカで黒人男性が白人警官に撃たれるという事件が相次いでいますが、その中で、
スタンガンの一種の、
「テーザー銃」
というのが出て来ました。私は初めて耳にした言葉です。拳銃の弾の代わりに"電極"を発射して、相手に命中して引き金を引くと電流が流れるという物のようで、「テーザーインターナショナル社」の商品だそうです。アメリカではかなり普及していて、アメリカのドラマなどには、よく出て来るそうです。これまでの、相手に接触させて使用する「スタンガン」とは少し使用方法が違いますし、かと言って「拳銃」でもない。4月8日のニュースでは「テーザー銃のような」という表現も出て来ましたが、各局・各社どのように表現しているのでしょうか?』
それに対する各社の回答は、
(共同通信)現状「テーザー銃」は使わず「スタンガン」にしている。しかし「非接触」ということが重要なケースなどでは説明が必要となるので、今後の検討課題だ。
(読売新聞)「特定商品名」ということでもあるので「テーザー銃」という表現は使っていない。「スタンガンの一種」としている。「スタン=気絶させる」の意味。
(NHK)「スタンガン」としている。
(NTV)外報デスクに聞いた。現地の記事を基に、引用の形で「テーザー銃のようなものを置いた」「電気ショックを与えるテーザー銃」と使った。アメリカの警官は、右側に「拳銃」、左側に「テーザー社のスタンガン(=テーザー銃)」を持っており、「テーザー銃」を黒人男性に奪われたので「ピストル」を撃った。その際に「右と左を勘違いした(「拳銃」を取られたと思った)」と警官は話しているという。(供述内容が本当かどうかは、わからない。)日本では「テーザー銃」は販売されていない。アメリカでは、裁判所など人が集まる場所での警備用に、このタイプのスタンガンが用いられ「テーザー社」が公的な場所でのシェアが高い。「テーザー銃」は安全だと言われているが、死亡例はある。ワイヤが付いたものだと何度も引き金を引いて電流を流せるため、ショック死する(心臓発作を起こす)とみられる。
(フジテレビ)4月8日のニュースでは「スタンガン」で出稿したが、3月に韓国で起きた事件では「テーザー銃」を説明なしで使った。「スタンガン」と「テーザー銃」は違う物だという認識。説明を付けけて「電気ショックを与えるテーザー銃」のような表現にするか、現在、検討中。
(TBS)3年前(2012年3月14日)に、アメリカの「60ミニッツ」という番組を紹介した中で「発射型のスタンガン・テーザー銃」によるトラブルが増えていると紹介した。裁判所など拳銃が使えない場所で、6~7メートル離れた所まで電極が飛ぶもので、トリガー(引き金)を引くと電流が流れる。電気ショックを受けた人は、数分で回復するが・・・などと紹介した。ちなみに「テーザー(TASER)」というのは、『宇宙冒険』などの作品があるSF作家「トマス・A・スイフト(Thomas A Swift)」の頭文字(TAS)に「エレクトリカル・ライフル(Electrical Rifle」の頭文字(ER)をつなげたものだそうだ。
というものでした。
今後「テーザー銃」にも注目していきます。