新・ことば事情
5716「グルメ通」
4月22日・水曜日の「かんさい情報ネットten.」の人気コーナー「ノゾキミ」を見ていたら、
「グルメ通」
という言葉が出て来ました。「グルメ通」!
「グルメどおり」
ではないですよ、「グルメつう」。「神経痛」でもありません。
ご存じだと思いますが、本来、「グルメ(gourmet)」はフランス語で、
「食通、美食家」
のことを指します。それから言うと、「グルメ通」というのは、
「食通通」
となってしまいます。「ショクツーツー」って「モールス信号」のようです、トン・ツー・ツー。
「『食通』について詳しい人」
という意味なら、成り立ちはしますが、それは、やはりおかしい。
『広辞苑』『明鏡国語辞典』『岩波国語辞典』は、
「食通、美食家」
という意味しか載せていませんし、『精選版日本国語大辞典』も、
「食通。美食家。また、酒の鑑定家」
のいう意味しか載せていません。『新明解国語辞典』も、表現は違いますが、意味はほぼ同じで、
「美食を求めてやまない人。美食家。食通」
となっています。
ただ、最近は「俗語」として
「グルメ=美食」
という意味によく使われていて、
「B級グルメ」「ご当地グルメ」「グルメ本」
といった言葉はよく目にし耳にしますし、誰も文句を言いません。というよりも、その意味のほうが「通りがいい」(よく使われている)のかもしれません。
『三省堂国語辞典・第7版』でも、
「グルメ」=(1)食通(2)おいしい料理
として載っています。
しかし、「グルメ」の本来の意味を知っていれば、「グルメ通」という言葉は、絶対に使わないと思うのですが、いかがでしょうか?