新・読書日記 2015_056
『四次元時計は狂わない~21世紀文明の逆説』(立花隆、文春新書:2014、10、20)
月刊誌『文藝春秋』の「巻頭随筆」2011年5月号から2014年7月号までの3年分・39編をまとめたもの。以前は阿川弘之さんが書いていた、あれですね。あまり読む機会がないので、こうやってまとめて読むと、「3年」という時代の流れも分かってよい。
章分けをして「日本再生」「革命の性器」「知の新時代へ」の3つに分かれている。タイトルとなった「四次元時計は狂わない」は「日本再生」の章にある。ちょうどこの本を読んでいた時に、NHKの、あの「クローズアップ現代」で、この「四次元時計」を取り上げていた。
日本でいま、世界でもっとも正確な時計が作られているというのだ。「光格子時計」というその時計は「100億年に1秒しか狂わない」のだそうだ。まだ地球ができて「46億年」だから、地球ができてからこれまでで「1秒も狂っていない」という、想像もつかないほどの精密さ・正確さ。現在、世界で最も正確とされ、世界標準時刻を傷むのに使われている「セシウム原子時計」でも、「数千万年に1秒狂う」のだそうだから、「光格子時計」はその1000倍も正確だという。もう訳が分からない。
そこから先はさらに訳が分からないのだが、それほど正確になると、もう単なる「時計」ではなくて、アインシュタインの相対性理論でいうところの「時空のゆがみ」を計れるのだという。というのは、これほど精度が高いと、「地球の重力のほんのちょっとした違い」も「時間計測」に影響を与える。逆に言うと、「時間計測への影響」によって「時空の重力によるゆがみ」を計算できるのだという。
理屈は分かるような、わからないようなだが、「量は質に転化する」のだな、きっと。それによって、次のディメンジョンに上がるというか。難しいけど、なんとなくわかる。
著者は「まえがき」で、こう記している。
「アベノミクスなどいつポシャっても不思議ではないが、四次元時計の話を聞くと、日本はまだまだ大丈夫と思う。」