新・読書日記 2015_047
『最貧困シングルマザー』(鈴木大介、朝日文庫:2015、1、30第1刷・2015、2、10第2刷)
社会の弱者に注目し、「ルポ」的なノンフィクションを書き続けている1973年生まれの著者。現代日本における「弱者」の一つ「シングルマザー」の「貧困」を探った。
日本の母子家庭の約半数が、年収125万円に満たない「貧困層」。プロローグでは「本書を社会学的なルポルタージュにしたくないと、強く願う」とある。本書で取り上げられた、今実際に「最貧困」状態にあるシングルマザーたちは、「食べるため」「生きるため」に「売春」を行っている。しかし、それでも食べていけないという現状。
「働けばいいじゃないか」というような言葉がむなしくなるような状況は、理解できない人には、理解できない。でも厳然として、そういった人間が、いる。
どうやれば彼女たちを救えるのか?取材をしながら、その道を探る著者であるが、この沼は、深くて"底なし"である。彼女たち本人が「救ってほしい」と声を上げれば・・・と思うが、それさえできない状況というのは一体・・・。
しかし、"売春婦にもなれない"という「絶対的に持たざる者」である彼女たちであるが、決して「放さない(離さない)もの」がる。それは「子ども」なのだ。だからこそ「シングルマザー」という生き方なのである。「子どもがいなければ、働ける」という状況でも、決して離さない。「子ども」こそが、彼女たちにとっての"最後の依り処"なのである。
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