新・読書日記 2015_042
『震災傍聴記~3、11で罪を犯したバカヤローたち』(長嶺超輝、扶桑社新書:2014、3、1)
ことし2月に、東北を3泊4日で旅した時に読んだ。
著者はこれまでも裁判の傍聴記をものしており、わかりやすい法律関係の著書もある。
「裁判」という中で、さまざまな人間模様が浮き彫りになる様子を描いた先達には、佐木隆三がいるが、本書は小説にまでは昇華しない「生データ」としての記録。
東日本大震災に際しては、「被災地では、商品の強奪などの犯罪は無かった」「日本人は、危機に際しても整然とマナーを守る素晴らしい民族だ」等の評判が世界中に広がったが、確かにほとんどはそうだったかもしれないが、例外的に「ダメなヤツはダメ」というか、「そういった倫理観が、欲望に負けてしまう弱い人間は、どこにでもいる」ということの記録。
「絶対に、今、そんな犯罪をそこで犯しちゃだめだろう」という状況の中なのに、あるいはそういった状況だからこそ、なぜか意思に反して「やってしまう」人間がいる。「バカヤローたち」という言葉でくくられた人が、どんな「バカヤロー」で、なぜ「バカヤロー」な事をしてしまうのか。本書を読んでください。
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