新・ことば事情
5712「歯槽膿漏」
歯医者に行きました。下の奥の歯にかぶせた銀が古くなったので、新しい物に換えたのです。その際に、歯医者さんからこう言われました。
「左上奥の銀歯2本も古くなってすり減ってますね。そして少し隙間ができて、昔で言うところの『歯槽膿漏(しそうのうろう)』になっています」
それを聞いて自分の病状よりも気になった言葉は、
「昔の『歯槽膿漏』」
ということは、
「現在は『歯槽膿漏』と言わないのですか?なんと言うんですか?」
と聞いたところ、
「『歯周病』です」
あ!聞いたことがあります!「歯周病」。あれって、「歯槽膿漏」のことだったのか!
「『中年太り』を『メタボ』と言うようになったようなものですか?」
と聞くと、先生、苦笑いしながら、
「まあ、そんな感じですね。まあしかし、ほとんど9割以上の人は、多かれ少なかれ『歯周病』なんです。でもそれで、症状が出ている人と出ていない人がいるだけで・・・」
というような話でした。知らなかったなあ、いつの間にか、
「『歯槽膿漏』は死語」
になっていたんだ!
こういった病気に関する言葉の変化は、「医療」そのものの変化によるものでしょうね。健康診断の数値の変化などもありますが、医療全体が、
「治療から予防へ」
とシフトしている流れの中で出て来た変化ではないかなあ・・・というように思いました。