新・ことば事情
5702「粛々と」
菅官房長官が沖縄を訪れ、翁長沖縄県知事と初めて会談を行いました。
その中で菅官房長官が、
「普天間基地から辺野古への移設については、粛々と工事を進める」
というように、
「粛々と」
という言葉を何回も使ったことに関して、翁長知事が、
「『粛々と』という言葉は『上から目線』だ」
と述べました。つまり、「偉そうだ」ということですね。
これを聞いて思い出したのが、円満字二郎さんの著書で「2011読書日記190」で感想を書いた、
『政治家はなぜ粛々を好むのか~漢字の擬態語あれこれ』(新潮選書:2011、10、25)
という本です。それによると「粛々」というのは「漢字の擬態語」であるという話でした。また、その感想文で私は、こう書いています。
『政治家がなぜ「粛々」を使うのか、その理由については本書を読んでもらいたいが、私は、難しい言葉を使って、聞いている人(有権者)を煙に巻こうとしているのではないか、もしくはエエカッコシイをしているのではないか、と思う。』
翁長知事の言葉を受けて、菅官房長官は、
「『粛々と』という言葉が不快に感じられたのであれば、使うべきではない」
と話したようですが、口癖になっているのではないかなあという気もしますね。