新・ことば事情
5701「アバー」
3月中旬、永年勤続休暇を利用してスペインへ行ってきました。
お目当てはスペインのバスク地方。1992年のバルセロナ五輪の年からこれまでに3度、スペインには行っていますが、まだバスクには行ったことがなかったのです。サンセバスチャンとビルバオ、それとゲルニカという街を巡って来ました。
その町々でバルを回って、
「ピンチョス」
と呼ばれる、フランスパンの上にいろいろな具材を載せた「カナッペ」のような物を食べました。店によって具材の種類が違うので、バルを「はしご」する楽しみがあるんですよね。指でつまんで食べる感じは、
「握りずし」
のよう、バルのカウンターに「ピンチョス」を載せた大皿がずらっと並んでいる様子は、
「京都のおばんざい」
のようで、我々日本人にとっても、何となくなじみのある光景なんです。
そういったバルを出る際に、お客さんが店の人に向かって、また店の人がお客さんに向かって、
「アバー」
とか、
「アボー」
と聞こえる言葉を投げかけています。別れの挨拶なのでしょうが、スペイン語(カスティーリャ語)だと、皆さんもよくご存じの、
「アディオス」
のはず。この「アバー」「アボー」は、バスク地方の言葉「バスク語」なのでしょうか?
日本に帰ってから調べると、どうやらバスク語で別れの挨拶は、
「アグール」
と言うそうです。しかし、耳で聞いた感じは、「アバー」「アボー」だったけどな。
想像するに、「ごきげんよう」を意味する「フランス語」の、
「アデユー」
の影響を受けた言葉ではないかなと思いました。