新・ことば事情
5697「50億円がもずくに」
「ミヤネ屋」で、芸能人の離婚を巡る特集コーナーを放送しました。
その中で、歌手の千昌夫さんがジョーン・シェパードさんと離婚する際の慰謝料が、なんと50億円だったという話がありました。しかし、千さんが事業に失敗して1000億円もの借金を背負ってしまったために、慰謝料が払えなくなったという話。それを指したスーパーが、
「50億円がもずくに」
もらえるはずだった慰謝料がもらえなくなって、それがもずくに・・・あれ?なんか、おかしいぞ。これは「もずく」ではなく、
「もくず」
なのではないか?50億円分も酢の物、食えないよ!「く」と「ず」が入れ替わってしまったんですね。全部「平仮名」だから、間違いやすい。「海のもくず」という言葉がありますが、「もずく」も元々「海の物」だし、これも間違いやすいのかもしれません。
『新聞用語集2007年版』を紐解くと、この表記は「藻」を漢字で書いて、
「藻くず」
とすることになっていました。しかし意味のメーンは「くず」にあるのだから、漢字で「屑」と書いて、
「藻屑」
と書いたら、絶対に間違わないのになあと思います。
「屑」が常用漢字ではない(表外字)なので、平仮名で書いているのですが、「もずく」と「もくず」を間違わないためには、「屑」は漢字で書くようにしてはどうかなと思いました。