新・ことば事情
5695「テン年代」
西暦「2000年」から「2009年」までの「10年」を、
「ゼロ年代」
と呼ぶのは、以前、書きました。(平成ことば事情3878「ゼロ年代」)
「1970年代」「1980年代」「1990年代」
を、それぞれ、
「70年代」「80年代」「90年代」
と言うのと同じですが、「十の位」が「0」である、「2000年~2009年」をどう呼ぶのかなあということは、以前から疑問でしたが、この「ゼロ年代」は定着したようです。
その「ゼロ年代」も終わって5年が経ちました。「2015年」現在、つまり
「『2010年~2019年』を『何年代』と呼ぶのか?」
というのもちょっと気になっていました。普通で考えれば、「十の位」が「1」ですから、
「10年代(ジューネンダイ)」
でよいと思うのですが、先日、こんな言葉を耳にしました。
「テン年代」
これはきっと「ゼロ年代」の「ゼロ」が英語なので、「10」も英語で「テン年代」になったのではないでしょうか?しかし、
「テ/ンネ\ンダイ」
と聞いて
頭に思い浮かぶのは、「天然のタイ」である、
「天然鯛(ダイ)」
です。「養殖ダイ」ではなく。「テンネン」と聞くと「天然」を思い浮かべますし、「天然ダイ」以外にも、「天然魚(テンネンギョ)」「天然エビ」等もあって「天然ダイ」は、なじみ深い。
「10年代=テンネンダイ」
は、はたして定着しますかねえ??
グーグル検索では、(3月11日)
「ゼロ年代」 =31万0000件
「テン年代」 = 3万0400件
「ジュウ年代」= 194件
「10年代」 =51万0000件
「天然ダイ」 = 3万5300件
「天然鯛」 =19万7000件
でした。ネット検索では、『ニッポンの思想』という本のあとがきで、著者の評論家で早稲田大学教授の、
「佐々木敦氏(1964年生まれ)」
が、
「201X年代=テン年代」
としたのが初め、と出て来ました。
ちなみに、「ゼロ年代」という言葉がまだ定着する前(出て来る前)の2000年3月、NHK放送文化研究所の塩田雄大さんが、「2000年~2009年まで」を、
「2000年代」
と表現すると、
「2000年~2999年まで」
を指す場合との区別がつかないかもしれないとして、
「2000年からの10年間」
と書くのが「一番正確である」と書いています。
ただし、前後の文脈からそれはわかることもあるので工夫が必要と、「文研」のサイトには記してありました。