新・読書日記 2015_023
『ドラマと方言の新しい関係』(金水敏・田中ゆかり・岡室美奈子、笠間書院:2014、8、20)
NHKのドラマを例に取り、その中で使われた「方言のあり方」を、実際にそのドラマを作ったプロデューサーや、方言指導の人に話を聞くという、ある意味、画期的なイベントの文字起こしをした一冊。対象となったのは『八重の桜』『あまちゃん』『カーネーション』の3作品。その中で私が少し見たのは『あまちゃん』ぐらいだが、それでも、大体イメージはつかめた。
最初に「役割語」という概念を提唱した大阪大学教授の金水敏先生が「フィクションの言語と方言」と題して講演。続いて「方言コスプレ」という概念を提唱した日本大学教授の田中ゆかり先生が「『あまちゃん』が開いた新しい扉」と題して、それまでのドラマで使われた「方言」の位置づけとは違う使い方を『あまちゃん』では行ったと。どう違ったのか?を説明。また「ドラマ批評」の立場から、岡室美恵子さんが「方言とアイデンティティー」についてのお話。どれも興味深い。
その後、プロデューサーたちを交えて具体的な話に入って行くというこのイベントは、去年(2014年)の3月22日に行われたもの。聞きに行きたかったなあ!でも、この一冊でそのエキスは味わえるから、まあいいか!
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