新・ことば事情
5687「『腹腔鏡』の読み方」
群馬大学病院で肝臓手術を受けた患者が相次いで死亡した問題で出て来た、
「腹腔鏡」
の読み方ですが、「ミヤネ屋」では、
「フククーキョー」(1つ目の「ク」は、母音の無声化)
で読み、ルビもそのように振りました。
しかし、各社の読み方などにバラつきがあったので、現状や方針などについて、去年12月の新聞用語懇談会放送分科会で質問しました。
『「腹腔鏡」の読み方と表記&ルビに関して。「フククーキョ」?「フクコーキョー」?
「フックーキョー」?また、「フククーキョー」の場合、どの音を「無声化」するのでしょ
うか?しないのでしょうか?NHKさん放送では、
「腹くう鏡」
と表記されていました。『NHK日本語発音アクセント辞典』では、
「腹こう」(フクコー=「フ」が無声化)
となっています。』
これに対する各社の回答は、
(NHK)たしかに「腹くう鏡」で放送した。医学用語は「腹腔鏡(フククーキョー)」。これは「鼻腔(ビクー)」「口腔(コークー)」と同じ。医学用語に従った。
(日本テレビ)11年前に「腹腔(フクコー)」を「腹腔(フククー)」にした。その際に医者は皆「フックー」と「促音」で発音しているので「フックー」にした。先日の群馬大の事件の際に、「ミヤネ屋」は「ふくくう」とルビを振っていたので他社の状況を見たら、各社「ふくくう」としていたので、今回、発音も「フククー」とした。ルビは降らない。
(フジテレビ)「フククーキョー」と読んでいる。
(テレビ朝日)「フククーキョー」と読んだ。「フックー」「フクコー」と読んだことがない。
(テレビ東京)「フククーキョー」
(WOWOW)「フククー」
(共同通信)「ふくくう」とルビ。「ハンドブック」には「腹腔(ふくこう)」=医学用語は「腹腔(ふくくう)」。「口腔(こうこう)」=一般用語・動物関係、「こうくう」=医学用語としている。
(ABC)「フククーキョー」と発音。
(KTV)「フククーキョー」。有声音で。
(TVO)「フククーキョー」。医師が「フックー」と促音で言うので、「フックー」と言っていた時期もあった。
(TBS)17年前、実際に「腹腔鏡手術」を受けた。その際に医者は、促音で「フックー」と言う医師と、「フッコー」と言う医師の両方がいた。「鏡」は省略して「カイフク(開腹手術)」か「フックー・フッコー(=腹腔鏡手術のこと)」という呼び方だった。
という状況でした。本来の「漢字の読み方」で言うと「フククー」ではなく「フクコー」なのですが、もう「医学界の慣用読み」としての「フククー」が定着していると考えていいようです。