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『道浦TIME』

新・ことば事情

5697「50億円がもずくに」

 

「ミヤネ屋」で、芸能人の離婚を巡る特集コーナーを放送しました。

その中で、歌手の千昌夫さんがジョーン・シェパードさんと離婚する際の慰謝料が、なんと50億円だったという話がありました。しかし、千さんが事業に失敗して1000億円もの借金を背負ってしまったために、慰謝料が払えなくなったという話。それを指したスーパーが、

「50億円がもずくに」

もらえるはずだった慰謝料がもらえなくなって、それがもずくに・・・あれ?なんか、おかしいぞ。これは「もずく」ではなく、

「もくず」

なのではないか?50億円分も酢の物、食えないよ!「く」と「ず」が入れ替わってしまったんですね。全部「平仮名」だから、間違いやすい。「海のもくず」という言葉がありますが、「もずく」も元々「海の物」だし、これも間違いやすいのかもしれません。

『新聞用語集2007年版』を紐解くと、この表記は「藻」を漢字で書いて、

「藻くず」

とすることになっていました。しかし意味のメーンは「くず」にあるのだから、漢字で「屑」と書いて、

「藻屑」

と書いたら、絶対に間違わないのになあと思います。

「屑」が常用漢字ではない(表外字)なので、平仮名で書いているのですが、「もずく」と「もくず」を間違わないためには、「屑」は漢字で書くようにしてはどうかなと思いました。

(2015、3、31)

2015年3月31日 14:21 | コメント (0)

新・読書日記 2015_031

『きのうの神様』(西川美和、ポプラ文庫:2012、8、5)

 

"西川美和"と言えば『ゆれる』『ディア・ドクター』などの作品で知られる映画監督・脚本家。その短編作品集。興味を持って読んだ。と言っても、本自体は、もう3年も前に出ていたものだけど。いわゆる「積ん読(どく)」になっていた一冊。3月中旬に行ったスペイン旅行のお供に持って行った9冊(読んだのは6冊)の内の一冊。帰りの飛行機の中で読んだ。「1983年のほたる」「ありの行列」「ノミの愛情」「ディア・ドクター」「満月の代弁者」の5編。

映画もそうだが、西川美和が描くテーマは、「村=過疎」における人間の生きざま、生と死、それを取り持つ仕事=医者といったものが多いなと感じた(これまで私が触れた作品の中では)。人がたくさん集まって作りだす「都市」ではなく、「村」の方が、「個人=人間」徒言うものが、よく見えて来るのかもしれない。

(2015、3、20読了)

(☆3つ半)


star5

2015年3月26日 10:04 | コメント (0)

新・ことば事情

5696「お年とお年頃」

 

小学4年生の娘が、最近よく口にする言葉に、

「私も、もう『お年頃』なんやから!」

があります。

ケッ、残念だなあ・・・こうして子ども(娘)は、(父)親から離れていくのかあ・・・と、しみじみ感じております、ハイ。

さて、ここで出て来た、

「お年頃」

ですが、これは、

「若い女性」

に使いますね。それ以外にはあまり使いません。「お」を外した、

「年頃」

も大体「若い女性」に使います。これに対して「お年頃」から「頃」をはずした、

「お年」

こちらはと言うと、

「お年寄り・高齢者」

に使います。「お」を外した、

「年」

も同じですね、「自称」する場合に、

「もう『年』だから」

などと言いますね。これって、

*「お冷や」=水

*「ひや」 =酒

みたいな違いですかね?

(2015、3、11)

2015年3月13日 11:40 | コメント (0)

新・ことば事情

5695「テン年代」

 

西暦「2000年」から「2009年」までの「10年」を、

「ゼロ年代」

と呼ぶのは、以前、書きました。(平成ことば事情3878「ゼロ年代」)

「1970年代」「1980年代」「1990年代」

を、それぞれ、

「70年代」「80年代」「90年代」

と言うのと同じですが、「十の位」が「0」である、「2000年~2009年」をどう呼ぶのかなあということは、以前から疑問でしたが、この「ゼロ年代」は定着したようです。

その「ゼロ年代」も終わって5年が経ちました。「2015年」現在、つまり

「『2010年~2019年』を『何年代』と呼ぶのか?」

というのもちょっと気になっていました。普通で考えれば、「十の位」が「1」ですから、

「10年代(ジューネンダイ)」

でよいと思うのですが、先日、こんな言葉を耳にしました。

「テン年代」

これはきっと「ゼロ年代」の「ゼロ」が英語なので、「10」も英語で「テン年代」になったのではないでしょうか?しかし、

「テ/ンネ\ンダイ」

と聞いて

頭に思い浮かぶのは、「天然のタイ」である、

「天然鯛(ダイ)」

です。「養殖ダイ」ではなく。「テンネン」と聞くと「天然」を思い浮かべますし、「天然ダイ」以外にも、「天然魚(テンネンギョ)」「天然エビ」等もあって「天然ダイ」は、なじみ深い。

「10年代=テンネンダイ」

は、はたして定着しますかねえ??

グーグル検索では、(3月11日)

「ゼロ年代」 =31万0000件

「テン年代」 = 3万0400件

「ジュウ年代」=    194件

「10年代」 =51万0000件

「天然ダイ」 = 3万5300件

「天然鯛」  =19万7000件

でした。ネット検索では、『ニッポンの思想』という本のあとがきで、著者の評論家で早稲田大学教授の、

「佐々木敦氏(1964年生まれ)」

が、

201X年代=テン年代」

としたのが初め、と出て来ました。

ちなみに、「ゼロ年代」という言葉がまだ定着する前(出て来る前)の2000年3月、NHK放送文化研究所の塩田雄大さんが、「2000年~2009年まで」を、

「2000年代」

と表現すると、

「2000年~2999年まで」

を指す場合との区別がつかないかもしれないとして、

「2000年からの10年間」

と書くのが「一番正確である」と書いています。

ただし、前後の文脈からそれはわかることもあるので工夫が必要と、「文研」のサイトには記してありました。

(2015、3、11)

2015年3月12日 14:28 | コメント (0)

新・読書日記 2015_029

『宇宙兄弟25』(小山宙太、講談社:2015、2、23)

 

ついに、ついに、、、六太(ムッタ)が宇宙へ、リフトオフ!

コングラッチュレーション!!

 


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(2015、2、25読了)

2015年3月12日 10:19 | コメント (0)

新・ことば事情

5694「『会議』のアクセント」

 

3月11日、東日本大震災から丸4年が経ちました。

長いような・・・短いような・・・長いけど、短い。

東京の国立劇場で、天皇皇后両陛下が参列されて追悼式が行われ、「ミヤネ屋」でもその模様を生中継で放送しました。

天皇陛下のお言葉は、大変心に沁みるものでした。また、横で聞いておられて、おことばが終わると陛下と並んで頭を垂れて「一礼」をされた皇后さまの「礼」のお姿の美しさには感動しました。腰を曲げて「礼」をした後に、さらに「首(頭)」を下げるような「礼」の仕方は、とても丁寧で美しく、心のこもった「礼」だなあと感じたのでした。

さて、天皇陛下のおことばの中に、3月14日から「国連防災世界会議」が宮城県仙台市で開かれるというお話がありました。その会議が有意義なものになるように、というお話でしたが、その「会議」のアクセントが、

「カ/イギ\ガ」

という「尾高アクセント」だったのでちょっと「おや?」と思って「アクセント辞典」で「会議」を引いてみると、

(1)  「カ\イギ」(頭高アクセント)

(2)  「カ/イギ\」(尾高アクセント)

の順番で2種類、載っていました。おそらく伝統的な(古い)アクセントが、

(2)  「カ/イギ\」(尾高アクセント)

なのでしょうね。「会議」という言葉は、単独で使われることも、もちろんありますが、その前に、

「防災会議」「管理職会議」「スタッフ会議」「役員会議」

のように、

「何か、会議の特徴を表す言葉が付くことが多い」

ですね。そして、そういう場合は「複合語」で、アクセントが、

「コンパウンドして『中高アクセント』」

になって、

「ボ/ーサイカ\イギ」「カ/ンリショクカ\イギ」「ス/タッフカ\イギ」

「ヤ/クインカ\イギ」

のように「会議」の部分のアクセントは、

「カ\イギ」

「頭高アクセント」になります。それもあって、「頭高アクセント」の「カ\イギ」が広まったのではないかなあ、というような話を、萩原アナウンサーとしました。

(2015、3、11)

2015年3月11日 23:26 | コメント (0)

新・読書日記 2015_028

『大津波を生きる~巨大防潮堤と田老百年のいとなみ』(髙山文彦、新潮社:2012、11、30)

 

本が出てすぐに購入して「積んどく」になっていたもの。ノンフィクションライターとして高名な著者が、津波と闘い続けて来た岩手県宮古市の田老(たろう)地区を取材した。

「田老地区」と言えば、明治三陸大津波、昭和三陸大地津波で、二度とも町が消滅の危機にさらされ、「万里の長城」にも例えられる全長2,5kmもの「防潮堤」が築かれていたのだが、今回の大津波は、それさえも越えて来た。実は、津波が来た場合、三方は防潮堤なのだが、1か所だけ"波を逃がすため"に、わざと開けていた土地があった。しかし、昭和の大津波以降津波がなかったことからその記憶が薄れ、その「津波を逃がす土地」にまで家が建ってしまったため、今回、被害が広がったという。

先月(2月)中旬、その「田老地区」に行って来た。盛岡からバスで2時間かけて宮古、さらに三陸鉄道・北リアス線で17分、田老駅に降り立った。無人駅。海が、防潮堤が見える。その手前には家はない。更地。そしてその手前の道路は、土をいっぱい積んだ10トントラックが、ひっきりなしに走っている。ここもまた、「かさ上げ」が行われていた。「防潮堤」が、完璧に津波を防げるわけではないのだ。自然と人間の闘いの記録として(ちょうど現地にも行ったので)立体的に読むことが出来た。

(☆4つ)


star4

(2015、2、22読了)

2015年3月11日 21:18 | コメント (0)

新・読書日記 2015_027

『南三陸から2011.3.11~2011.9.11』(佐藤信一、日本文芸社:2011、9、30第1刷・2013、12、1第9刷)

 

東日本大震災で津波に襲われ、町民1万7000人のうち、800人がのみ込まれて死亡・不明となった宮城県南三陸町。その写真館のご主人が撮り続ける町の姿をまとめた写真集。先月(2月)中旬、現地・宮城県南三陸町のホテルの売店で購入した。

南三陸町というと、最後まで津波からの避難を呼びかけていて亡くなった女性職員・遠藤未希さんがいた「防災対策庁舎」が、赤い鉄骨だけになって立っている。

ホテルの従業員の方も被災者で、現在も仮設住宅で暮らしてらっしゃるそうだが、その従業員の方が「語り部」として被災地の現状を案内してくれるバスツアー(1時間)に参加した。更地となった現地は今、津波被害を受けないように、10メートルもの土のかさ上げが行われている。「ふるさと」に住むことの困難さ、それでも「ふるさと」で住みたいという思い。安全を確保しつつ住むことのむずかしさ。それによって得ること、失うこと。その原点の「被災から半年の様子」が、この一冊には、しっかりと残されている。


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(2015、2、18読了)

2015年3月11日 19:15 | コメント (0)

新・ことば事情

5693「白鵬のアクセント」

 

横綱「白鵬」の読み方のアクセントですが、

(1)  「ハ/ク\ホー」(中高アクセント)

(2)  「ハ\クホー」(頭高アクセント)

の2種類を耳にします。私は、

(1)「ハ/ク\ホー」(中高アクセント)

です。

なぜ(2)の「頭高アクセント」もあるのか気になっていたのですが、ある日、ひらめきました。本来は、

(1)「ハ/ク\ホー」

「ク」に「アクセントの山」があると思うのですが、この「ク」が、

「母音の無声化」

のために、

「アクセントが1拍前にずれ」

て、

(2)「ハ\クホー」

と「頭高クセント」で言う人も多いのではないか?ということです。

また、(1)「ハ/ク\ホー」と言う人でも、「ク」は「有声音」で発音している人が多いように思いますが、いかがでしょうか?

あ、それとやはり、大横綱の

「大鵬」

のイメージがオーバー・ラップするので、

「タ\イホー」(頭高アクセント)

同じアクセント・パターンを取ろうとするのかもしれませんね。

「鵬」の漢字も同じですしね。

(2015、3、10)

2015年3月11日 17:00 | コメント (0)

新・ことば事情

5692「運転と操縦」

ハリウッド俳優のハリソン・フォードさん(72)が、自家用小型機で不時着したというニュースを、先日「ミヤネ屋」でお伝えしました。その際に発注してきたスーパー(と原稿)が、

×「小型飛行機を運転

となっていました。言うまでもなく「飛行機・ヘリコプター」は、「運転」ではなく、

「操縦」

です!「運転」するのは、

「自動車(自家用車・バス・タクシーなど)・電車・汽車・機関車・自転車・バイク・原子力発電所、機械など」

ですね。

「じゃあ、『船』は?」

「船」は「舵」を取るので、

「操舵」

ですね。「そうだ」と読む"そうだ"。

「じゃあ『宇宙ロケット』『スペースシャトル』は?」

これもやはり

「操縦」

でしょうね。ついでに、

*「電車・バスなど地上の交通機関」     =「運行」

*「船・飛行機など空と海・川・湖の交通機関」=「運航」

です。要注意!!

(2015、3、10)

2015年3月11日 10:59 | コメント (0)

新・ことば事情

5691「ウエアラブル端末」

 

3月10日、アップルが腕時計型の情報端末「アップルウォッチ」を4月24日に発売すると発表しました。

それを伝えた日テレ「ストレイトニュース」では、この、腕時計型情報端末のことを、

「ウエアラブル端末」

と言っていましたが、この言葉は言いにくいですねー。スーバーでは「エ」は大きかったですが、森富美アナウンサーは、「小さい『ェ』」で、

「ウェアラブル端末」

と読んでいました。「小さい『ェ』」にしたほうが、より読みにくい気がします。

また、カタカナで書くよりも、

wearable

と英語で書いた方が読みやすいですねえ。

「ウエア・ラブル」

と、意識の上で区切ると読みやすいです。

ちなみに、NHKのお昼のニュースでも「アップルウォッチ」のことを、

「ウェアラブル端末」

と言ってましたね。「小さい『ェ』」でした。

しかし、テレビ朝日のお昼のニュースではこの言葉を使わず、

「身に着けたまま操作できる」

という言い方をしていました。

(2015、3、10)

2015年3月10日 23:58 | コメント (0)

新・読書日記 2015_026

『むずかしいことをやさしく やさしいことを深く 深いことをわかりやすく』(永六輔、毎日新聞社:2014、1、20)

 

この長いタイトルは、故・井上ひさしが、よく口にしていた言葉だという。それを永さんも信条として生きて来たという。

パーキンソン病になってから、ラジオの番組も降りたり、でもその病気の中でも活動される様子がテレビで紹介されたりしている永さん。

自分に合う薬が見つかって、最近はパーキンソン病の進行が抑えられて、症状が小康状態だという。それをラジオで言ったり、エッセイに書いたりすると「どこの病院のどんな薬ですか!?」と、同じ病気で苦しむ人たちから問い合わせが殺到すると言うが、こればかりは「万能薬」ではなく、ひとりひとりの症状によって、合うか合わないかは違うので、名前は言えないと。未だに物凄い影響力を持つ人なのだなと改めて思った。


star4

(2015、2、10読了)

2015年3月10日 18:17 | コメント (0)

新・読書日記 2015_025

『戦場でメシを食う』(佐藤和孝、新潮新書:2006、10、20)

 

もう9年も前に、出てすぐ買ったのに「積んどく」になっていた本。ちょっとタイトルがノンビリした感じだったので、「グルメ本かな?」と少し思ったりして・・・(んなアホな)。でも「メシを食う」はまさに、

「戦場で生活する人たちと一緒に暮らす」

ということ。同じ目線で考え行動し取材する。その自分を客観的に記録する。そして、

「その戦場の仕事で生きていく(いる)」

ということも示しているタイトルだったのだ!それに気付いたら、俄然、読む気持ちが前向きになった。

もちろんこの本を読むきっかけは、イスラム過激派組織"イスラム国"による日本人ジャーナリストらの殺害事件である。

著者はフリージャーナリスト・戦場ジャーナリスト。3年前(2012年8月20日)にシリアで取材中に亡くなった、あの山本美香さんのパートナーだった。

『なぜ、戦場を取材するのか?』

その問いに答えてくれる一冊だと思う。


star4

(2015、2、9読了)

2015年3月10日 15:29 | コメント (0)

新・読書日記 2015_024

『聞き出す力』(吉田豪、日本文芸社:2014、12、31第1刷・2015、1、11第2刷)

 

タイトルは、阿川佐和子さんのベストセラー『聞く力』のパクリであることは、吉田豪氏本人も言ってるから、いいでしょう。ま、「パクリ」と言うよりは「パロディー」ですけどね、「タイトル」は。内容はというと、

「プロ・インタビュアー」

という、聞き慣れない職業の第一人者である著者・吉田豪にかかると、

「インタビューされた本人でさえ知らない魅力を引き出されてしまう」

ともっぱらの評判。インタビューされる相手に、

「豪さん、僕も知らないような話を引き出してくれるんですよね!」

と"先制パンチ"を浴びながら、本当にそんな内容を引き出してしまう吉田豪さんの「聞き出す力」とは、一体!それは、本書を読んでください。

とりあえず、「徹底的に調べる」。インタビューする相手の書いた本やら資料を読み込む、というのが「大前提」としてありますね。当たり前の事だけどスゴイ!なかなか、そこまでできる人がいないからこそ、吉田さんのすごさが際立つのですね。

「当たり前の事を極める(徹底的に行う)」

のは、なかなか出来ないのですよね!!


star4

(2015、2、9読了)

2015年3月10日 10:27 | コメント (0)

新・読書日記 2015_023

『ドラマと方言の新しい関係』(金水敏・田中ゆかり・岡室美奈子、笠間書院:2014、8、20)

 

NHKのドラマを例に取り、その中で使われた「方言のあり方」を、実際にそのドラマを作ったプロデューサーや、方言指導の人に話を聞くという、ある意味、画期的なイベントの文字起こしをした一冊。対象となったのは『八重の桜』『あまちゃん』『カーネーション』の3作品。その中で私が少し見たのは『あまちゃん』ぐらいだが、それでも、大体イメージはつかめた。

最初に「役割語」という概念を提唱した大阪大学教授の金水敏先生が「フィクションの言語と方言」と題して講演。続いて「方言コスプレ」という概念を提唱した日本大学教授の田中ゆかり先生が「『あまちゃん』が開いた新しい扉」と題して、それまでのドラマで使われた「方言」の位置づけとは違う使い方を『あまちゃん』では行ったと。どう違ったのか?を説明。また「ドラマ批評」の立場から、岡室美恵子さんが「方言とアイデンティティー」についてのお話。どれも興味深い。

その後、プロデューサーたちを交えて具体的な話に入って行くというこのイベントは、去年(2014年)の3月22日に行われたもの。聞きに行きたかったなあ!でも、この一冊でそのエキスは味わえるから、まあいいか!


star4

(2015、1、29読了)

2015年3月 9日 20:26 | コメント (0)

新・ことば事情

5690「マッサージのような」

去年(2014年)6月、大阪市内で、生後4か月の男の子をうつぶせの状態で首の動脈や胸などを繰り返しもみ、窒息状態に陥らせ死亡させた疑いで、57歳の女(姫川尚美容疑者)が逮捕された事件。

3月4日の各紙夕刊を見ると

*「マッサージのような施術」=読売・毎日・産経

*「自らが提唱する独自の施術」=朝日

*「『身体機能を回復する』とうたった乳幼児向けマッサージ」=日経

と分かれていました。

一般的には「肩などをもんだりする行為」を「マッサージ」と言いますが、それは、

「広義のマッサージ」

で、「狭義」では、

「『あん摩マッサージ指圧師法』で定められた『免許を持つプロの人』が営業行為として(お金を取って)行う行為のみ」

を、「マッサージ」と呼べると思います。

「厚生労働省のホームページ」には、こんな記述がありました。少し長いが引用します。

『*無資格者によるあん摩マッサージ指圧業等の防止について」 

医師以外の方が、あん摩マッサージ指圧、はり、きゅう及び柔道整復の施術所等において、あん摩、マッサージ若しくは指圧、はり又はきゅう及び柔道整復を業として行おうとする場合には、あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律(昭和22年法律第217号)において、それぞれ『あん摩マッサージ指圧師免許』『はり師免許又はきゅう師免許』を、柔道整復師法(昭和45年法律第19号)においては『柔道整復師免許』を受けなければならないと規定されており、無免許でこれらの行為を業として行ったものは、同法により処罰の対象になります。 厚生労働省としましても、都道府県等関係機関と連携して、無資格者によるあん摩マッサージ指圧業等の防止に努めているところであります。

あん摩マッサージ指圧及び柔道整復等の施術を受けようとする皆様におかれましては、こうした制度の内容を御理解いただき、有資格者による施術を受けていただきますよう、お願いいたします。

 

姫川容疑者は、免許を持っているわけではないのに、「お金を取って」こういった行為を行っていた訳ですから、これを「マッサージ」と呼ぶと、

「免許を持ってちゃんとしたマッサージを行っているプロの人たちに迷惑がかかる」

と思います。そこで、各新聞は、

「マッサージのような施術」「自らが提唱する独自の施術」

『身体機能を回復する』とうたった乳幼児向けマッサージ」

という表現にして「マッサージ」というダイレクトな言葉を避けていると思われます。

ただ、日経新聞の見出しは、

「マッサージ後に乳幼児死亡」

と「マッサージ」を使っていましたし、3月5日の朝刊では、特に説明もなく、

「マッサージ」

を本文の中でも使っていました。読売・毎日・産経は3月5日朝刊も、

「マッサージのような施術」

で、朝日新聞には、この記事は載っていませんでした。

なお読売テレビ報道局では、日本テレビからの指摘を受けたこともあり内部で検討した結果、

「マッサージのようなもの」「独自のマッサージ法」

などという表現にすることになりました。

ちなみに、「関西テレビ」では、

「ズンズン運動と名付けた独自の整体」

「朝日放送」では、

「『ズンズン運動』と称する独自のマッサージ」

「毎日放送」は、やはり「マッサージ」は使えないと意識して、

「首や肩、腹をもむなどして」

「胸や腹を繰り返し押さえつけるなどして」

というように、「揉む」「押さえ(つけ)る」という表現を使っているのだそうです。

(2015、3、5)

2015年3月 6日 21:42 | コメント (0)

新・ことば事情

5689「ビン・缶」

 

会社で缶コーヒー(ブラック・無糖)を飲み終えて、分別ごみ箱に捨てようとして、ふと思いました。

「会社のごみ箱には『一般ごみ』と、『ペットボトル』と、『ビン・缶』の分別ごみ箱があるけど、なんで『ビン・缶』は『ビン』が『先』なんだろうか?『缶・ビン』でもいいのに。いや、ごみの実態から言うと『ビン』はほとんど捨てられていなくて、その大半は『缶』のはずだから、『缶』が先でも良い。全部『缶』ならば『ビン』は書く必要がないとも言える。それ何になぜ『ビン・缶』なのだろうか?」

自問自答してみると、

「ビンカン」=「BINKAN」

「カンビン」=「KANBIN」

この中の「ビ」の音は「上唇と下唇が合わさって出る濁音」だから「息の勢い&力」が要る。それが単語の頭に出て来るなら、あとは一気に言えるが、単語の途中に出て来ると力をコントロールしなくてはならず面倒だ。だから言いやすさで言って「ビン・カン」となるのではないか。それに、

「敏感(ビンカン)」

という、よく知られた言葉があるので、言いやすいということもあるかもしれません。「カンビン」はあまり聞かない。「カンベン」は「勘弁」「簡便」等がありますけどね。

または、「ビン」の方が古い容器で、「缶」が新たに出て来たので、「ビン」の後ろについているのかもしれません。

グーグル検索では(3月5日)

「ビン・カン」= 7万7200件

「ビン・缶」 =11万5000件

「瓶・缶」  = 7万5900件

「カン・ビン」= 4万0900件

「缶・ビン」 = 8万8100件

「缶・瓶」  = 7万7800件

でした。

(2015、3、5)

2015年3月 6日 18:41 | コメント (0)

新・ことば事情

5688「甘じょっぱい2」

3月4日の『かんさい情報ネットten.』で、山本アナウンサーが新大阪にできた新しいエキナカ施設(お店)から中継を行いました。その中に出て来た"味の表現"、

「甘じょっぱい」

という言葉は、「東日本の言葉」で関西人には、なじみがありません。

そもそも、

「しょっぱい」

が東日本の言葉。西日本では、

「塩からい」

と言います。でも「甘じょっぱい」を、

「甘からい」「甘がらい」

とは言わないなあ。

手元にある普通の国語辞典=『広辞苑・第6版』(2008年)『精選版日本国語大辞典』(2001年)『新明解国語辞典』(2012年)にも載っていないので、きっと「新しい言葉」なのでしょう。

新しい言葉をす早く採用することで有名な『三省堂国語辞典・第7版』(20141月刊)には、

*「あまじょっぱい」=あまくて、しおからい。(例)「甘じょっぱいおでんのつゆ」

と載っています。

「甘ずっぱい」からの連想で生まれた言葉かもしれませんね。

私がこの言葉に気付いたのは、2013年の11月。その際、「平成ことば事情5279甘じょっぱい」に書いています。

今回、それを読み直して思ったのですが、もしかしたらこの「甘じょっぱい」という言葉は、

「『塩麹』の普及に伴って広がったのではないか?」

ということです。どうなのかな???

(2015、3、5)

2015年3月 6日 12:40 | コメント (0)

新・ことば事情

5687「『腹腔鏡』の読み方」

 

群馬大学病院で肝臓手術を受けた患者が相次いで死亡した問題で出て来た、

「腹腔鏡」

の読み方ですが、「ミヤネ屋」では、

「フククーキョー」(1つ目の「ク」は、母音の無声化)

で読み、ルビもそのように振りました。

しかし、各社の読み方などにバラつきがあったので、現状や方針などについて、去年12月の新聞用語懇談会放送分科会で質問しました。

『「腹腔鏡」の読み方と表記&ルビに関して。「フククーキョ」?「フクコーキョー」?

「フックーキョー」?また、「フククーキョー」の場合、どの音を「無声化」するのでしょ

うか?しないのでしょうか?NHKさん放送では、

「腹くう鏡」

と表記されていました。『NHK日本語発音アクセント辞典』では、

「腹こう」(フクコー=「フ」が無声化)

となっています。』

これに対する各社の回答は、

(NHK)たしかに「腹くう鏡」で放送した。医学用語は「腹腔鏡(フククーキョー)」。これは「鼻腔(ビクー)」「口腔(コークー)」と同じ。医学用語に従った。

(日本テレビ)11年前に「腹腔(フクコー)」を「腹腔(フククー)」にした。その際に医者は皆「フックー」と「促音」で発音しているので「フックー」にした。先日の群馬大の事件の際に、「ミヤネ屋」は「ふくくう」とルビを振っていたので他社の状況を見たら、各社「ふくくう」としていたので、今回、発音も「フククー」とした。ルビは降らない。

(フジテレビ)「フククーキョー」と読んでいる。

(テレビ朝日)「フククーキョー」と読んだ。「フックー」「フクコー」と読んだことがない。

(テレビ東京)「フククーキョー」

(WOWOW)「フククー」

(共同通信)「ふくくう」とルビ。「ハンドブック」には「腹腔(ふくこう)」=医学用語は「腹腔(ふくくう)」。「口腔(こうこう)」=一般用語・動物関係、「こうくう」=医学用語としている。

(ABC)「フククーキョー」と発音。

(KTV)「フククーキョー」。有声音で。

(TVO)「フククーキョー」。医師が「フックー」と促音で言うので、「フックー」と言っていた時期もあった。

(TBS)17年前、実際に「腹腔鏡手術」を受けた。その際に医者は、促音で「フックー」と言う医師と、「フッコー」と言う医師の両方がいた。「鏡」は省略して「カイフク(開腹手術)」か「フックー・フッコー(=腹腔鏡手術のこと)」という呼び方だった。

 

という状況でした。本来の「漢字の読み方」で言うと「フククー」ではなく「フクコー」なのですが、もう「医学界の慣用読み」としての「フククー」が定着していると考えていいようです。

(2015、3、5)

2015年3月 6日 10:35 | コメント (0)

新・ことば事情

5686「『日本舞踊界』の区切り方」

 

坂東三津五郎さんが亡くなった後、テレビを見ていたら、

「歌舞伎界のみならず、日本舞踊界にとっても、大きな損失です」

という文言を耳にしました。この中の、

「日本舞踊界」

の女性ナレーターのアクセントが、

「ニ/ホ\ン・ブ/ヨ\ーカイ」

となっていたのです。これだと、

「日本・舞踊界」

になってしまいます。何かおかしいな・・・あ、そうか、これは、

「ニ/ホンブヨ\ーカイ」

でなくてはならない。つまり、

「日本舞踊・界」

なんだ!と気付くまで、数秒かかりました。

「日本舞踊」も、「日本」の「舞踊」の一つですが、ここは「日本舞踊」をきっちりと言わなければならない。そうすると、

「ニ/ホンブヨ\ーカイ」

でないといけないのになあと思いました。

「ミヤネ屋」では、そのように読んでもらうように、ナレーターさんにも指示しました。

(2015、3、4)

2015年3月 5日 22:34 | コメント (0)

新・ことば事情

5685「チンロン」

 

3月1日放送の日本テレビ『世界の果てまで行ってQ』を見ていたら、イモリさんが「ミャンマー」を訪れていました。その中で、

「チンロン」

というスポーツ(?)が紹介されていました。これは、6人ぐらいが輪になって、その真ん中に1人が入って「ボール・リフティング」をやる「蹴鞠」のような競技のようです。

それを見て私は、

「あ!『セパタクロー』だ!」

と思いました。「セパタクロー」は「マレーシア」かどこかでしたよね、起源は。しかし「籐(とう)でできたボール」は同じような感じですが、「セパタクロー」がバドミントンみたいなコートで「3人対3人」で対戦するのに対して、この「チンロン」は、あくまで「円」になっての「蹴鞠」ですから、やはり違う競技なんでしょうね。

「ウィキペディア」には、こう載っていました。

『チンロンは、主にミャンマーで行なわれている伝統的な遊戯またはスポーツである。(中略)ビルマ語で「チン」は籠、「ロン」は球体を意味する。競技の名称だけでなく、競技で使用されるボールも意味する。「チン」のみで競技の名称やチンロン球を指すこともある。』

同じような球技がアジア一帯にあるというのは、何か「つながり」を感じますね。

(2015、3、4)

2015年3月 5日 18:15 | コメント (0)

新・ことば事情

5684「お車」

 

2月の中旬、東北に行ってきました。その時に乗った「東北新幹線」の車内アナウンスが、こんな感じでした。

 

「10号車から16号車まで"お車"は連結しております。"お車"の

 

お間違いのないようにお願い致します。」

え?「お車」?「お車」って、

 

「車両」

 

の「丁寧語」なのでしょうか??

ちょっと、初めて耳にする丁寧な言葉でした。

(2015、3、4)

2015年3月 4日 18:57 | コメント (0)