新・ことば事情
5681「『三津五郎』のアクセント」
2月21日午前2時3分、歌舞伎俳優の坂東三津五郎さんが、59歳の若さでお亡くなりになりました。すい臓がんだったそうです。哀悼の意を表します。
「ミヤネ屋」でも訃報、告別式の様子などを放送いたしました。
さて、その際に、お名前の、
「三津五郎」
のアクセントをどうするか、少し問題になりました。つまり、
(1) 「ミ/ツゴロー」(平板アクセント)
(2) 「ミ/ツ\ゴロー」(中高アクセント)
のどちらかという問題です。
「ミヤネ屋」では、たぶん梨園では(1)の「平板アクセント」の、
「ミ/ツゴロー」
が使われているであろうということで、原則(1)で読んでもらうようにナレーターさんなどにも指示しました。
2月23日~25日の日本テレビ『スッキリ!!』を見ていたら、ほとんどは、
(1)「ミ/ツゴロー」
ですが、ときどき、
(2)「ミ/ツ\ゴロー」
が交ざっている感じでした。
2月24日放送のテレビ朝日『徹子の部屋』では追悼・坂東三津五郎さんということで、以前(2013年)に放送した三津五郎さんが出演した回の再放送をしていました。その番組の冒頭で、黒柳徹子さんは、
「バ\ンドー・ミ/ツ\ゴローさん」
というように、
「(2)ミ/ツ\ゴロー(中高アクセント)」
のアクセントで話していました。
また2月25日の日本テレビ「every.」の男性ナレーターも、
(2)「ミ/ツ\ゴロー」(中高アクセント)
と読んでいました。
同じような「歌舞伎俳優の名前のアクセント」の問題では、
「(片岡)仁左衛門」
「(尾上)菊五郎」
でも生じます。共に「ミヤネ屋」では「平板アクセント」で、
「ニ/ザエモン」
「キ/クゴロー」
としていますが、以前「十五代目・片岡仁左衛門さん」が話しているのをテレビで聞いた際、ご本人は、
「ニ/ザエモン」(平板アクセント)
「ニ/ザ\エモン」(中高アクセント)
両方、混ざって話していらっしゃいました。
そして、2月25日の日本テレビ「every.」の男性ナレーターは、「尾上菊五郎」も、
「キ/ク\ゴロー」(中高アクセント)
と読んでいました。
2月25日の告別式を受けて、翌2月26日の日本テレビ『スッキリ!!』では、女性ナレーターは、
「ミ/ツゴローさん」
と「平板アクセント」。VTR出演の歌舞伎評論家の喜熨斗(きのし)勝さんも、
「ミ/ツゴロー」
と「平板アクセント」。ただ、女性ナレーターは「尾上菊五郎」は、
「キ/ク\ゴロー」
と「中高アクセント」で読んでいました。このアクセントだと、ちょっと、
「あっと驚く『為五郎』」
を連想してしまいそうです・・・しませんか、そうですか。古いか。
ちなみに、三津五郎さんの長男「坂東巳之助」の「巳之助」も、「ミヤネ屋」では、
「ミ/ノスケ」(平板アクセント)
で読みましたが、他の番組で、
「ミ/ノ\スケ」(中高アクセント)
で読んでいるのも耳にしました。
(追記)
その後見た、2月26日のテレビ朝日「ワイドスクランブル」の男性アナウンサーは、
「ミ/ツゴローさん」(平板アクセント)
「キ/ク\ゴローさん」(中高アクセント)
でした。
また、「ミヤネ屋」の藤村リポーターによると、坂東三津五郎さんの事務所のほうから、
「『ミ/ツゴロー』(平板アクセント)で読んでほしい」
と要望が入ったそうです。(私は知りませんでしたが)
しかし藤村さんが見た、去年(2014年)歌舞伎の舞台に復帰した際の三津五郎さんのインタビューでは、ご本人が、
「ミ/ツ\ゴロー」(中高アクセント)
と話していたそうです。どちらかのアクセントが「絶対正しい」とい
うわけでもないようですねえ。
(2015、2、27)