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『道浦TIME』

新・ことば事情

5680「『ブリスベーン』か『ブリスベン』か」

 

オーストラリアの地名で、テニスの錦織圭選手が出場した大会の「ブリスベン国際」を、「ミヤネ屋」で表記する際に、ネット検索などでは「伸ばさない」、

「ブリスベン」

の表記を多く見かけました。

しかし、『新聞用語集2007年版』を引いたら、

「ブリスベーン」

と「伸ばす」ことになっていたので「ミヤネ屋」では「ー」を入れました。

しかしここで、"かすかな記憶"がよみがえりました。少し前に新聞用語懇談会で、

「最近は、伸ばさずに『ブリスベン』とする」

と聞いたような気がします。

調べてみたら、平成26(2014)年11月16日付けの外務省のサイトでは、

「G20ブリスベンサミット」

と伸ばしていませんでした。グーグル検索(1月20日)では、

「ブリスベーン」=20万0000件

「ブリスベン」 =87万9000件

と、圧倒的に「ブリスベン」と伸ばさない方が多かったのです。しかも、「ネットニュース」では、

「日テレ、TBS、テレビ朝日、フジテレビ、テレビ東京、NHK」

も、伸ばさない、

「ブリスベン」

になっていました。各社、放送ではどちらの表記を使っているのか、2月の新聞用語懇談会放送分科会で聞いてみたところ、以下のような回答がありました。

 

(NHK)「NHK日本語発音アクセント辞典」には「ブリスベン」で載っている。

(日本テレビ)各社「ブリスベン」に変更しているようだが、日本テレビは「ブリスベーン」と伸ばしたまま。ただし、スポーツの国際大会などはスポーツ部仕切りなので、特例としてテニスの大会は「ブリスベンオープン」にしていた。

(TBS)書き方は特に決めていない。外務省は「ブリスベーン」にしているが、番組内では統一して「ブリスベン」にした。ほかに「ブリスベイン」という表記もある。

(フジテレビ)「ブリスベン」。過去1年の原稿では1件だけ、ハイジャックのニュースで「ブリスベーン」があった。

(テレビ朝日)表記に関してANNは、朝日新聞の表記に従っているので「ブリスベン」。

(テレビ東京)テニスの大会とサミットは「ブリスベン」だった。

(WOWOW)「ブリスベン」。

(共同通信)去年(2014年)のサミットの前に、それまでの「ブリスベーン」から「ブリスベン」に変更した。

(ABC)ブリスベン。

(MBS)ブリスベン。現地の発音に忠実ならば「ブリズベン」と濁るはずだが。

(KTV)共同準拠で「ブリスベーン」と報道デスクは言っていたのだが、変更を知らなかったらしい。帰って伝えます。

(TVO)「テニスマガジン」等の専門誌も見てみたが「ブリスベン」だった。

うーん、時代の趨勢としては「伸ばさない」ほうの「ブリスベン」のようですね。英語の発音も「伸ばさない方」に近いみたいです。

私の"かすかな記憶"は、共同通信の去年11月、熊本での秋季合同総会での発言だったかもしれません。

伸ばすか伸ばさないか、それが問題だ!

 

 

(追記)

去年11月の熊本の用語懇談会の記録が出て来たので記しておきます。

 

☆「ブリスベン」か?「ブリスベン」か?(産経新聞)

これまで『新聞用語集』などでは「ブリスベン」だが、共同通信が「ブリスベン」に変更した理由は?

→(共同通信)この間の「G20」の前に、外務省の表記にそろえて変更した。「ブリスベン」のほうが現地音に近い。

(毎日新聞)「ブリスベーン」のまま。

(朝日新聞)2001年5月に、当時の外報部(現・国際報道部)が「ブリスベン」に変更した。旅行会社のパンフレットなどの表記も「ブリスベン」が多数派であることなどから。

(NHK)現地音のアクセントは「ブリスベン」が近い。『NHK日本語発音アクセント辞典』では「ブリスベン」。

(産経新聞)共同通信と同じタイミングで「ブリスベン」に変更した。現地音は「ブリズベン」と「ズ」が濁るが、それは採用せず。

(日経新聞)用語集は「ブリスベーン」だが、国際部が共同通信にそろえて「ブリスベン」にした。用語集はまだ直していないが、社内の関係者には通達した。

(読売新聞)「ブリスベーン」のまま。

 

これだけ書いたのに忘れているとは!!あかんなあ。

(2015、2、27)

 

(2015、2、26)

2015年2月26日 12:23 | コメント (0)