新・ことば事情
5668「しっかりと」
先日、タレントの三船美佳さん(32)が24歳年上の夫の歌手・高橋ジョージさんと離婚裁判になっていることを表明しました。その際の会見・・・というか囲み取材の際に話した言葉を聞いて「おや?」と思いました。彼女は、こう言ったのです。
「しっかりと、時間をかけて考えた結果です」
この、
「しっかりと」
ですが、先日(1月18日)の民主党代表選挙の際に、当選した岡田克也新代表も挨拶でこう使っていました。
「代表選挙の結果は、まさしく3人が伯仲していた。その一人ひとりの気持ちを踏まえて、民主党がしっかりと政権交代を担えるだけの政党だと国民の皆さんに思っていただけるように、しっかりとした戦いを安倍自民党とやっていきたい」
ということで、「しっかりと」を「2回」使っています。しかし、
「『永田町用語』での『しっかりと』には、意味がない。あるいは正反対の意味を持つ」
とも言われています。中身のなさを隠すために「しっかりと」という言葉を、とりあえず入れると、
「なんだか、ちゃんとやっているように見えてくる『魔法の言葉』」
なんだそうです。言われて見れば「しっかりと」を抜いても、だいたい意味は通じますね。
そう考えると三船美佳さんの「しっかりと」も、本当に時間をかけて考えたのかな?という気もしないでもないですが、三船さんは「永田町の人」ではないから、そこまで勘ぐるのは失礼なのかもしれませんね。