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『道浦TIME』

新・ことば事情

5683「船頭の名を」

坂東三津五郎さん追悼の特集を見ていたら、三津五郎さんが紫綬褒章を受章されたときの映像(だったと思う)が紹介されていました。その中で、三津五郎さんのコメントをフォローするスーパーの文字がこうなっていました。

「船頭の名を辱めることなく」

それを見て「あれ?」っと思いました。いきなり、

「船頭」

が出て来たけど、これはきっと「間違い」だな。「せんどう」は「平板アクセント」で、

「セ/ンドー」

でしたが・・・あ!わかった、これは、

「先導の名を」

だ!・・・・うーん、音だけで聞いてすぐに漢字を思いつくのは確かに難しいですが、

「『船頭』は絶対に出て来ない」

ということを考えたら、対策としては、

「分からない言葉、おかしいと思ったら、スーパーフォローはしない」

ということしかないかなあ。「平仮名で書く」という手もありますが、それだと、

「わからない」

ことを公言しているようなもので、スーパーを出す意味がないですもんねえ。

「他山の石」といたします。

(2015、2、27)

2015年2月27日 18:21 | コメント (0)

新・ことば事情

5682「解職か?解任か?」

 

突如浮上した「大塚家具」の、『父=創業者』と『娘=現・社長』の対立。その中で、似たような2つの言葉が出て来ました。それは、

「解職と解任」

です。「社長」を「解職」でしょうか?「解任」でしょうか?

少し考えてひらめきました。きっと、

「解職」=「社長」

「解任」=「取締役」

なのではないかなあと思いました。

しかし、実際、これを使い分けるのはとても難しいですし、人口に膾炙しているのは、

「解任」

ではないか?そこで2月27日の「ミヤネ屋」では、

『厳密には(狭義)「取締役=解任」「社長=解職」だが、広義では「解任=解職」でよい』

としました。

(2015、2、27)

2015年2月27日 15:20 | コメント (0)

新・ことば事情

5681「『三津五郎』のアクセント」

 

2月21日午前2時3分、歌舞伎俳優の坂東三津五郎さんが、59歳の若さでお亡くなりになりました。すい臓がんだったそうです。哀悼の意を表します。

「ミヤネ屋」でも訃報、告別式の様子などを放送いたしました。

さて、その際に、お名前の、

「三津五郎」

のアクセントをどうするか、少し問題になりました。つまり、

(1)  「ミ/ツゴロー」(平板アクセント)

(2)  「ミ/ツ\ゴロー」(中高アクセント)

のどちらかという問題です。

「ミヤネ屋」では、たぶん梨園では(1)の「平板アクセント」の、

「ミ/ツゴロー」

が使われているであろうということで、原則(1)で読んでもらうようにナレーターさんなどにも指示しました。

2月23日~25日の日本テレビ『スッキリ!!』を見ていたら、ほとんどは、

(1)「ミ/ツゴロー」

ですが、ときどき、

(2)「ミ/ツ\ゴロー」

が交ざっている感じでした。

2月24日放送のテレビ朝日『徹子の部屋』では追悼・坂東三津五郎さんということで、以前(2013年)に放送した三津五郎さんが出演した回の再放送をしていました。その番組の冒頭で、黒柳徹子さんは、

「バ\ンドー・ミ/ツ\ゴローさん」

というように、

「(2)ミ/ツ\ゴロー(中高アクセント)」

のアクセントで話していました。

また2月25日の日本テレビ「every.」の男性ナレーターも、

(2)「ミ/ツ\ゴロー」(中高アクセント)

と読んでいました。

同じような「歌舞伎俳優の名前のアクセント」の問題では、

「(片岡)仁左衛門」

「(尾上)菊五郎」

でも生じます。共に「ミヤネ屋」では「平板アクセント」で、

「ニ/ザエモン」

「キ/クゴロー」

としていますが、以前「十五代目・片岡仁左衛門さん」が話しているのをテレビで聞いた際、ご本人は、

「ニ/ザエモン」(平板アクセント)

「ニ/ザ\エモン」(中高アクセント)

両方、混ざって話していらっしゃいました。

そして、2月25日の日本テレビ「every.」の男性ナレーターは、「尾上菊五郎」も、

「キ/ク\ゴロー」(中高アクセント)

と読んでいました。

2月25日の告別式を受けて、翌2月26日の日本テレビ『スッキリ!!』では、女性ナレーターは、

「ミ/ツゴローさん」

「平板アクセント」。VTR出演の歌舞伎評論家の喜熨斗(きのし)勝さんも、

「ミ/ツゴロー」

「平板アクセント」。ただ、女性ナレーターは「尾上菊五郎」は、

「キ/ク\ゴロー」

と「中高アクセント」で読んでいました。このアクセントだと、ちょっと、

「あっと驚く『為五郎』」

を連想してしまいそうです・・・しませんか、そうですか。古いか。

ちなみに、三津五郎さんの長男「坂東巳之助」の「巳之助」も、「ミヤネ屋」では、

「ミ/ノスケ」(平板アクセント)

で読みましたが、他の番組で、

「ミ/ノ\スケ」(中高アクセント)

で読んでいるのも耳にしました。

 

 

(追記)

その後見た、2月26日のテレビ朝日「ワイドスクランブル」の男性アナウンサーは、

 

「ミ/ツゴローさん」(平板アクセント)

「キ/ク\ゴローさん」(中高アクセント)

 

でした。

また、「ミヤネ屋」の藤村リポーターによると、坂東三津五郎さんの事務所のほうから、

 

「『ミ/ツゴロー』(平板アクセント)で読んでほしい」

 

と要望が入ったそうです。(私は知りませんでしたが)

しかし藤村さんが見た、去年(2014年)歌舞伎の舞台に復帰した際の三津五郎さんのインタビューでは、ご本人が、

 

「ミ/ツ\ゴロー」(中高アクセント)

 

と話していたそうです。どちらかのアクセントが「絶対正しい」とい

うわけでもないようですねえ。

(2015、2、27)

 

 

(2015、2、26)

2015年2月26日 18:25 | コメント (0)

新・ことば事情

5680「『ブリスベーン』か『ブリスベン』か」

 

オーストラリアの地名で、テニスの錦織圭選手が出場した大会の「ブリスベン国際」を、「ミヤネ屋」で表記する際に、ネット検索などでは「伸ばさない」、

「ブリスベン」

の表記を多く見かけました。

しかし、『新聞用語集2007年版』を引いたら、

「ブリスベーン」

と「伸ばす」ことになっていたので「ミヤネ屋」では「ー」を入れました。

しかしここで、"かすかな記憶"がよみがえりました。少し前に新聞用語懇談会で、

「最近は、伸ばさずに『ブリスベン』とする」

と聞いたような気がします。

調べてみたら、平成26(2014)年11月16日付けの外務省のサイトでは、

「G20ブリスベンサミット」

と伸ばしていませんでした。グーグル検索(1月20日)では、

「ブリスベーン」=20万0000件

「ブリスベン」 =87万9000件

と、圧倒的に「ブリスベン」と伸ばさない方が多かったのです。しかも、「ネットニュース」では、

「日テレ、TBS、テレビ朝日、フジテレビ、テレビ東京、NHK」

も、伸ばさない、

「ブリスベン」

になっていました。各社、放送ではどちらの表記を使っているのか、2月の新聞用語懇談会放送分科会で聞いてみたところ、以下のような回答がありました。

 

(NHK)「NHK日本語発音アクセント辞典」には「ブリスベン」で載っている。

(日本テレビ)各社「ブリスベン」に変更しているようだが、日本テレビは「ブリスベーン」と伸ばしたまま。ただし、スポーツの国際大会などはスポーツ部仕切りなので、特例としてテニスの大会は「ブリスベンオープン」にしていた。

(TBS)書き方は特に決めていない。外務省は「ブリスベーン」にしているが、番組内では統一して「ブリスベン」にした。ほかに「ブリスベイン」という表記もある。

(フジテレビ)「ブリスベン」。過去1年の原稿では1件だけ、ハイジャックのニュースで「ブリスベーン」があった。

(テレビ朝日)表記に関してANNは、朝日新聞の表記に従っているので「ブリスベン」。

(テレビ東京)テニスの大会とサミットは「ブリスベン」だった。

(WOWOW)「ブリスベン」。

(共同通信)去年(2014年)のサミットの前に、それまでの「ブリスベーン」から「ブリスベン」に変更した。

(ABC)ブリスベン。

(MBS)ブリスベン。現地の発音に忠実ならば「ブリズベン」と濁るはずだが。

(KTV)共同準拠で「ブリスベーン」と報道デスクは言っていたのだが、変更を知らなかったらしい。帰って伝えます。

(TVO)「テニスマガジン」等の専門誌も見てみたが「ブリスベン」だった。

うーん、時代の趨勢としては「伸ばさない」ほうの「ブリスベン」のようですね。英語の発音も「伸ばさない方」に近いみたいです。

私の"かすかな記憶"は、共同通信の去年11月、熊本での秋季合同総会での発言だったかもしれません。

伸ばすか伸ばさないか、それが問題だ!

 

 

(追記)

去年11月の熊本の用語懇談会の記録が出て来たので記しておきます。

 

☆「ブリスベン」か?「ブリスベン」か?(産経新聞)

これまで『新聞用語集』などでは「ブリスベン」だが、共同通信が「ブリスベン」に変更した理由は?

→(共同通信)この間の「G20」の前に、外務省の表記にそろえて変更した。「ブリスベン」のほうが現地音に近い。

(毎日新聞)「ブリスベーン」のまま。

(朝日新聞)2001年5月に、当時の外報部(現・国際報道部)が「ブリスベン」に変更した。旅行会社のパンフレットなどの表記も「ブリスベン」が多数派であることなどから。

(NHK)現地音のアクセントは「ブリスベン」が近い。『NHK日本語発音アクセント辞典』では「ブリスベン」。

(産経新聞)共同通信と同じタイミングで「ブリスベン」に変更した。現地音は「ブリズベン」と「ズ」が濁るが、それは採用せず。

(日経新聞)用語集は「ブリスベーン」だが、国際部が共同通信にそろえて「ブリスベン」にした。用語集はまだ直していないが、社内の関係者には通達した。

(読売新聞)「ブリスベーン」のまま。

 

これだけ書いたのに忘れているとは!!あかんなあ。

(2015、2、27)

 

(2015、2、26)

2015年2月26日 12:23 | コメント (0)

新・ことば事情

5679「アヤカラ・チルカラ」

 

いつも新しい言葉を仕入れては教えてくれるMアナウンサーが、またニヤニヤしながら近付いてきました。

「道浦さん、また仕入れましたよ。」

「今度は何?」

「『アヤカラ』と『チルカラ』です。意味、わかりますか?」

「・・・・わからん。教えて!」

「『アヤカラ』は『綾香』の曲"しばり"のカラオケで、『チルカラ』は『Mr.Children(ミスターチルドレン)』の曲"しばり"のカラオケのことなんですって!1992年生まれの女性記者に教えてもらいました!」

ふーん。「綾香」で「アヤカラ」はいいとして、「Mr.Children(ミスターチルドレン)」=「ミスチル」が、

「チルカラ」

というのは、解せないな。「ミスチル」なら、

「ミスカラ」

でいいんじゃないの?「下の方を採る」なんて、

「『新宿』を『ジュク』」・「『池袋』を『ブクロ』」・「『高田馬場』を『ババ』」

と言うような感じやな。ま、いいか。

色んな「若者の新語」が生まれているようですね。

まだ「綾香」も「ミスチル」もわかったからいいけど、「セカオワ」あたりになると、オジサンはついていけません・・・。「いきものがかり」だと、

「イキカラ」?

それとも、

「カリカラ」?

(2015、2、5)

2015年2月20日 21:33 | コメント (0)

新・ことば事情

5678「アラーか?アッラーか?」

 

「ミヤネ屋」のディレクターからの質問です。

「表記は『アラー』でしょうか?『アッラー』でしょうか?」

放送では、今のところ、

「アラー」

ですね。日本新聞協会の『新聞用語集2007年版』に準拠しています。

しかし、日本でもイスラムの専門家は、

「アッラー」

を使っています。これは、

「『イスラム』か?『イスラーム』か?」

というのと同じ問題ですね。これも放送では、

「イスラム」

を採用していますが、専門家は、

「イスラーム」

と言うし、書きますね。次の『新聞用語集』の改定でも話題には上っていますが、変更するかどうかは、まだ分かりません。

(2015、2、5)

2015年2月19日 21:20 | コメント (0)

新・ことば事情

5677「厳重っぷり」

 

Twitter(ツイッター)を見ていたら、こんな文章が。

「バニラエアは、手荷物の重さを全部はかられるぐらいの厳重っぷりです。」

この中の、

「厳重っぷり」

というのは初めて見ましたねえ。

本来「ぶり」を使う所や、「ぶり」とは相性がよろしくない言葉に、

「っぷり」

を付ける例は、これまでも見て来ましたが、この「厳重っぷり」は、かなり違和感のある表現ですねえ・・・。

似たようなものについて書いた、

平成ことば事情3454「過激っぷり」

平成ことば事情3915「『ぶり』と『っぷり』」

平成ことば事情3956「美少女っぷり」

平成ことば事情3990「主婦っぷり」

平成ことば事情4093「『っぷり』と『っぽい』」

もお読みください。

(2015、2、5)

2015年2月18日 21:16 | コメント (0)

新・読書日記 2015_022

『ニッポンの音楽』(佐々木敦、講談社現代新書:2014、12、20)

 

帯の文言は、「Jポップ誕生『以前』と『以後』の45年を通覧する」とあり、70年代、80年代、90年代、ゼロ年代と、10年ごとに区切ってその変化を読み解く。

「70年代」=はっぴいえんどの物語

「80年代」=YMO(イエロー・マジック・オーケストラ)の物語

「90年代」=渋谷系と小室系の物語

「ゼロ年代以降」=中田ヤスタカの物語

とある。こう分けちゃうと「Jポップ」の世界45年は、ほとんど数人で成り立ったかのような錯覚が・・・。でも大胆な区切り方は、時代の流れの中での「Jポップの柱」をくっきりと示してくれている。大体、同時代を生きて来ているので、納得できる部分も多いが、最後の「中田ヤスタカ」という人は、知りませんでした・・・。

ちなみに「Jポップ」という言葉は1980年代末に生まれたと。

この本での「柱」とは「また別の柱」で立てられた「Jポップ史」というのも、きっと書けるのだと思う。


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(2015、1、28読了)

2015年2月17日 12:13 | コメント (0)

新・読書日記 2015_021

『話す力』(草野仁、小学館新書:2013、10、6第1刷・2013、11、5第2刷)

 

アナウンサーの大先輩で(面識はないけど)、今、私が担当している番組『情報ライブ ミヤネ屋』と同じ時間帯で以前放送していた情報番組『ザ・ワイド』のキャスターであった「草野仁」さんの著書。(『ミヤネ屋』のスタッフには、『ザ・ワイド』のスタッフだった人もいます。)

250ページほどの新書の、最初の80ページぐらいは、本当に話すのが苦手な人向けの内容なので、私は特に読まなくてもいいかなという感じだったが、後半に行くにつれて、フムフムと、ためになる話が出て来る。第

第4章の「相手をその気にさせる伝え方」のところなんかは、大変参考になる話が次々と出て来て、ページの端をいっぱい折ってしまいました。『ザ・ワイド』のときの話も、いろいろと出て来ました。

一つ、「これは!」と思ったのは、

「いい聞き手とは、まずは相手の話をさえぎらずに話を聞いてあげられる人ではないでしょうか」

ドキッ!・・・反省。注意します!


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(2015、1、12読了)

2015年2月16日 12:12 | コメント (0)

新・読書日記 2015_020

『日本語ふしぎ探検』(日本経済新聞社編、日経プレミアシリーズ:2014、10、8)

 

日経新聞の電子版の「ことばオンライン」の連載をまとめたもの。私は日経の電子版は読んでないから、これは全部、初めて読むものです。

日経のこういった連載では、特別編集委員の「野瀬泰申さん」の「食べ物」に関する"調べるエッセイ"が有名だし面白いが、どうもこれも、そのテイストを受け継いでいるような感じで、面白い言葉のコラム。調べてますね、いろいろと。

ただ、一つ"難"を言えば、いろんな記者が書いている連載を集めたためか、ちょっと表記がバラバラ。たとえば「辞書のタイトル」を、普通は『 』あるいは「 」でくくるものだが、くくっている人と、くくっていない人が混在していて、イライラする。

大辞林第3版(=三省堂 2006年)

のように書く人と、

『大辞林』(三省堂、第3版)

と書く人がいるのです。本のタイトルは『 』で括ってほしいと思いました。 

でも、内容は「心が折れる」と初めて言ったのは、あのプロレス選手だった!とか、「紅白帽」と「赤白帽」の分布とか、発見も多く面白いですよ!


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(2015、1、31読了)

2015年2月15日 12:08 | コメント (0)

新・読書日記 2015_019

『男と女のワイン術』(伊東博之、柴田さなえ、日経プレミアシリーズ:2015、1、13)

初心者向けの一冊。素人ながら20年もワインを飲み続け、毎晩のように実践している私にとっては、特に目新しい話は無かった。自分が感じていることを一つ一つ確認するような感じの本。

一つ、「なぜこれを書かなかったのかな?」と思ったのは、「ボトルの形」。つまり、「ボルドータイプ」の「いかり肩タイプ」と、「ブルゴーニュタイプ」の「なで肩タイプ」、これを知っておけば「味のタイプの予測」もある程度できるという話は不可欠だと思ったのですが、書かれていませんでした。残念!


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(2015、1、28読了)

2015年2月14日 12:07 | コメント (0)

新・読書日記 2015_018

『音楽を愛でるサル~なぜヒトだけが愉しめるのか』(正高信男、中公新書:2014、7、25)

「音楽」とは何なのか?なぜ人間(ヒト)だけが、音楽を楽しむことができるのか?

そんな不思議を「サル」との対比で読み解いていく。

「九九」は「算数」ではなく「音楽」であるというような話は、納得のいくものである。歌で覚える効用は、もっと認識されてもいいと思った。


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(2015、2、2読了)

2015年2月13日 12:06 | コメント (0)

新・読書日記 2015_017

『知ろうとすること。』(早野龍五・糸井重里、新潮文庫:2014、10、1第1刷・2014、10、20第3刷)

東京大学大学院理学系研究科の早野龍五教授に、コピーライターの糸井重里が質問をする形での対談集。東日本大震災直後に、糸井はツイッターを通じて、物理学者である早野と知り合った。福島第一原発の事故から3年を経た2014年、改めて放射能に関する様々な質問を投げかけ、それに対して早野が答えていくという形。

「第1章     なぜ放射能に関するツイートを始めたのか」

「第2章     糸井重里はなぜ早野龍五のツイートを信頼したのか」

「第3章     福島での測定から見て来たこと」

「第4章     まだある不安と、これから」

「第5章     ベビースキャンと科学の話」

「第6章     マイナスをゼロにする仕事から、未来につなげる仕事へ」

という見出しを見れば、その内容に興味が湧くでしょ?

詳しくは本書を読んでみてください。


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(2015、1、26読了)

2015年2月12日 12:05 | コメント (0)

新・読書日記 2015_016

『認知症の「真実」』(東田勉、講談社現代新書:2014、11、20)

 

黒い帯に書かれた赤い文字は、

「"認知症"は国と医者が造り上げた虚構の病だった!」

黄色い文字で、

「認知症医療の『闇』と『希望』を描いた2014年最大の衝撃作」

とおどろおどろしい。

著者は医者ではなく、1952年生まれのフリーライター兼編集者。

「認知症」という新しい病名が出来た頃、「認知症」に効くという「クスリ」が売り出された、と。従来の「痴呆症」や「アルツハイマー病」という区分の時代よりも、「認知症」という名称になってから「患者」がどんどん増えているが、「認知症」は本当に「病気」なのか?「メタボ」という言葉と基準が定められてから、「メタボ」は「未病」という「病気」だから「治療対象」となって来たことなどを考え合わせると、本書の主張も納得できる部分も多い。

全てを「そうなのか!」という気はないが、昨今の、

「2025年には認知症患者が700万人に!」(2012年は462万人)

などというデータを見ると、「ちょっと眉唾」というか、

「認知症の症状の大部分は『加齢』によるものではないか?つまり『老化』なのではないか?」

と思ってしまう。「老化」は自然であり、不可逆的だ。昨今は「アンチエイジング」が流行っているが、何千年も昔から「不老不死」を願う人間の希望はあるものの、それは「自然に反する行為」でもある。

「病人=患者」が増えれば「病院」「製薬会社」が儲かる。そう考えると「眉唾」ものでも、「ちょっとはそうなのかな?」

と思ってしまっても仕方がないのではないか。

どちらも、ちょっとずつ信じて、自分で考えよう。


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(2015、1、25)

2015年2月11日 12:01 | コメント (0)

新・読書日記 2015_015

『イスラーム国の衝撃』(池内恵、文春新書:2015、1、20)

 

前々からイスラムのこと、そしてイスラム過激派組織「イスラム国」(=ISIL)のことは勉強しないといけないと思っていたのだが、日本人2人が人質となった事件がきっかけとなって一気に読みました。

背景や現状がなんとなくわかった。いや、「なんとなく」というのは、本の内容は深いのだが、こちらの理解力が低いのだ。もっといろいろ読んでみて、立体的に、今「中東」で起きていることを把握していきたいと思います。


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(2015、1、25読了)

2015年2月10日 12:00 | コメント (0)

新・読書日記 2015_014

『誰も知らない世界と日本のまちがい~自由と国家と資本主義』(松岡正剛、春秋社:2007、12、20第1刷・2008、1、20第2刷)

 

随分前に購入していながら、なかなか読み切れなかったが、ここにきて「読むぞ!」という気になった、長いことかかったなあ・・・。

読み出すと、何ともおもしろい!

未来を知るには過去を知ること・歴史を学ぶことが不可欠ですが、「世界史」とか「日本史」というような分類ではなく、「人類の歴史」を同時進行的に、「共時的」でありながら「通時的」に教えてくれる大学の講義に出ているような、知的好奇心をくすぐる一冊である。

「第一講」が「ネーション・ステートの謎」。「近代における国家って何だろう?」と、このところの「イスラム国」の問題にぶち当たって考えざるを得ない。「集団的自衛権」の問題だって「国」、「国家」対「国家」の問題ですしね。

1899年「義和団の乱」、これに対抗した「列強8か国」って・・・「G8」じゃないですか!なんだか変わってないなあ。

じっくりと読んで考える。考えたら、また読む、という感じで読み進めることができました。「第九講」は「二つの世界戦争のあいだ」。実はここで、現代の中東に関わる大きな問題が起きていたんですねえ・・・。佐藤優さんが、「現代は、また『帝国主義』の時代」と言っているのも、分かるような気がするなあ。

「第十講」の「資本と大衆の時代」もためになった。赤線を「引きまくり」、書き込みも「しまくり」です。まるで「ノート」のようになってしまった、この本。

1か所誤植も見つけてしまいました。

×「私を肥やす」→○「私を肥やす」

この本は「第2刷」なんだから、「第1刷」で気付いて直してほしかったです。


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(2015、1、18読了)

2015年2月 9日 11:59 | コメント (0)

新・読書日記 2015_013

『言葉尻 とらえ隊』(能町みね子、文春文庫:2014、12、10)

 

『週刊文春』での連載コラムをまとめたもの。連載は1ページの半分ぐらい。読んだことはあるが、毎回必ず読んでいるわけではない。ちょっと分量的に少ないかな?という気がしていた。しかしこうやって文庫本になると、ちょうど見開き2ページでこれが読みやすくて、サクサク読めてしまう。

どの項目も「ホウホウ」「そうそう!」と思える言葉でいっぱい!中でも「100億パーセント/ 二度と」「母親」「バッシングが吹き荒れないことを祈るばかりだ」「下腹部」等、興味深い"言葉たち"が並ぶ。一読の価値、ありですよ!(私は『週刊文春』での連載を真面目に読んでいなかったからこそ、今回は新鮮に読めました。)


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(2015、1、9読了)

2015年2月 8日 11:58 | コメント (0)

新・読書日記 2015_030

『購書術~本には買い方がある』(中川右介、小学館新書:2015、2、7)

  

「読書」ではない「購書(こうしょ)」、つまり「本の買い方」についての本。マニアックである。それもそのはず著者の中川さんは買った本4万冊、作った本・雑誌500冊、書いた本50冊、読んだ本冊数不明という、「本」のプロである。本の「オモテ」と「ウラ」が「ここまでわかってしまって、いいの?」というような本。

著者の中川さんから贈って頂きました。ありがとうございます。

読んでいると、中川さんの本の買い方の歴史が綴られているので、

「本の買い方のテクニック」

について書いてあるというよりは、

「中川さんと本の、おつきあいの歴史」

が書かれているのだと思う。

私も含め「本好きの人」はかなりの部分、「自分と同じようだなあ」と共感を覚えるのではないだろうか。

私が中川さんと違ってやっていないのは「古書店を呼んで買い取ってもらう」ということと、「電子書籍を読む」ということだが、これもそのうち、やるようになるのかなあ・・・。


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(2015、2、3読了)

2015年2月 7日 11:57 | コメント (0)

新・ことば事情

5676「異端児か?風雲児か?」

 

1月28日、国内航空業界3位のスカイマークが民事再生法を申請したというニュースの中で、スカイマークを引っ張ってきた西久保愼一前社長のことを指して、

「航空界の異端児」

と呼ぶのか?それとも、

「航空界の風雲児」

なのか?「ミヤネ屋」の原稿で迷いました。

本来は「風雲児」の方がふさわしいと思うのですが、そもそも「異端児」と「風雲児」では、どう違うのでしょうか?『広辞苑』では、

*「異端児」=正統派に属さず独自の活動をする人。常識にとらわれず、自由奔放に行動する人。

*「風雲児」=風雲に際会した人。好機に乗じて世に頭角を表した人

 

でした。(「際会」って言葉も知らなかったなあ。)

これを読むと「異端児」でもいいかな?と思いますが、私は、

*「異端児」=「マイナス」のイメージ

*「風雲児」=「プラス」のイメージ

を持っていました。既にリード部分・台本などで「異端児」になっていて、修正が間に合わないということで、OAは「異端児」で行きました。

(2015、2、5)

2015年2月 6日 12:26 | コメント (0)

新・ことば事情

5675「取るべきか?採るべきか?」

 

「ミヤネ屋」のパネルをチェックしていたら、

「日本がとるべき対策は?」

という文字が目につきました。この「とるべき」の「とる」は、漢字で、

「取るべき」

と「すべき」だなと思いましたが、「ちょっと待てよ」と。

ディレクターが平仮名にしている時は、

「どちらの漢字か迷った場合」

が多いのです。同音異義語の使い分けは難しいですからね。とすると、この「対策」に使われる「とる」は、

「採るべき」

かもしれないぞと。難しいなあ。どちらの漢字を「とるべき」なのでしょうか?

しかし、よく考えると、

*「取るべき対策」=行うべき対策

*「採るべき対策」=選ぶ・採用すべき対策

ではないか?と考え、それだったら単に「選ぶだけ」でなく「行う」「実行する」ことに重点を置いて、

○「日本がるべき対策」

で良いのだなと思い、そう直しました。

(2015、2、5)

2015年2月 5日 18:25 | コメント (0)

新・ことば事情

5674「解放と釈放」

 

イスラム過激派組織「イスラム国」側は、人質となっていた後藤健二さんを帰すための条件」として、「リシャウィ死刑囚」との「交換」を言ってきましたが、それぞれの、

「身柄を自由にすること」

を指す言葉は、微妙に違います。

★「後藤さん」=「解放」

★「リシャウィ死刑囚」=「釈放」

です。

その違いは?『広辞苑』を引くと、

*「解放」=解き放つこと。束縛を解いて自由にすること。()人質を解放する

*「釈放」=自由を拘束されている者、特に刑事施設に拘禁されている者の拘束を解くこと。

ということですね。きっちりと使い分けましょう!

それにしても、なんで「釈放」は例文が載ってないのでしょうか?スペースの問題かな?

(2015、2、5)

2015年2月 5日 16:24 | コメント (0)

新・ことば事情

5673「下半身『に』触った疑い」

 

警察官が、男子高校生の下半身に触れたとして逮捕されたというニュースが、1月27日に流れました。その中で、読売テレビのニュースでは、

「下半身『に』触った疑いで逮捕」

と伝えていたのが気になりました。気になったのは、助詞の「に」です。これは正しくは、

「下半身『を』触ったとして逮捕」

なのではないでしょうか?

単に「触れた」のなら「に」という助詞で「接着した」事を示せばそれで済むのですが、この逮捕された警察官の場合は、明らかに、

「若い男性(同性)を狙った痴漢」

ですから、

「『下半身』は『目的』」

だったはずです。それならば、助詞は、

「を」を使うべきだと思いました。

(2015、2、4)

2015年2月 5日 11:35 | コメント (0)

新・ことば事情

5672「すべておまとめでよろしかったですか?」

 

コンビニエンス・ストアで、色々とゴチャゴチと買いました。

おにぎり、ホット缶コーヒー、雑誌、キャンディー、ボールペン。

温かい物、食べ物、飲み物、紙でできた物、プラスチックでできた物。

すると、店員さんが品物を袋に入れる前に、こう言いました。

「すべて、おまとめでよろしかったですか?」

以前だったら、この、

「よろしかったですか?」

に反応して、

「なんで過去形なんだ!」

と突っ込んでいたところですが、もう、さすがに慣れっこになってしまっています。

今回、私がピピッと来たのは、

「すべて"おまとめ"で」

の部分です。普通は(従来は)、

「おまとめして」

「おまとめさせていただいて」

など「動詞」にするところです。しかし、

「『動詞』にすると、『活用』や『敬語表現』がややこしい」

ところが、このように、

「おまとめ」

と「体言止め」にすれば、活用しなくて良いのです!

それでかあ、最近「体言止め」「名詞形」の言い方が増えている理由は!と、ひらめいたのでした。きっと、そうに違いない!!

(2015、2、4)

2015年2月 4日 20:55 | コメント (0)

新・ことば事情

5671「インターネット上に公開か?インターネット上で公開か?」

(これは1月28日に書き始めたものです。書き終わる前に、後藤さん殺害のニュースが流れました。誠に残念です。)

 

イスラム過激派組織「イスラム国」の人質となっているフリージャーナリストの後藤健二さんとみられる男性からの2度目のメッセージが、日本時間の1月27日の深夜(28日未明)のインターネット上で公開されました。

これを報じた各局のテレビ画面の左か右の上に、

「インターネット上に公開された映像」

というスーパーが出ていました。『ミヤネ屋』でも、そういう発注が来ましたが、この中の「助詞『に』」

が気になりました。私は、

「インターネット上『で』公開された映像」

ではないかと考えるのです。「に」と「で」の違いは、どこにあるのか?考えました。

*「に」=公開する「場」

*「で」=公開する「方法」「手段」

どちらも間違いではないのですが、いずれにせよ、ここで出て来るのは「インターネット」という「メディア」ですね。「メディア」は公開するための「方法」であり、公開される「場」でもあります。

ですから、「に」を使うか「で」を使うかは、「方法」を重視するか、「場」を重視するかによって変わって来ます。そして「場」と「方法」「手段」は、

*「場」=「結果」

*「方法」=「過程」

だと思います。

その辺りの判断の違いで、助詞の選び方も変わってくるのではないでしょうか。

(2015、2、3)

2015年2月 4日 12:41 | コメント (0)

新・ことば事情

5670「主食」

 

2月2日の「ZIP!」の人気コーナー、速水もこみちさんの「MOCO'S KITCHEN」。このコーナーは、視聴者からのリクエストに応じた料理を作るのですが、この日の視聴者からのリクエストメールは、

「超簡単にできて、主食になるものをお願いします。」

というものでした。この、

「主食」

というのに引っかかりました。「主食」というのは、日本人にとっては

「お米のごはん」

なのではないのか?百歩譲って、

「パン」

なのではないでしょうか?あ、

「うどん」

も関西では「主食系」に入れていいと思います。「そば」は入らない気がするな。なんとなく。しかし、このコーナーで作るのは普通、

「おかず」

なのではないか?

念のため『広辞苑』で「主食」を引くと、

「飯・パン。麺類など、日常の食事の中心となる食物。()『米を主食にする』⇔副食」

とありました。

しかし、「『主食』になるものをお願いします」とリクエストを受けて、もこみちくんが作ったのは、

「豚肉とジャガイモの簡単炒め」

でした。これは「おかず」ですよね 「おかず」は「主食」ではありません・・・、あ、そうか、もしかしたらリクエストした人も、もこみち君も(そして番組スタッフも)、「主食」を、

「メーンディッシュの意味」

に取っているのではないでしょうか?つまり、ここでの「主食」は、

「がっつりお腹にたまる、ボリュームのあるおかず」

を指しているのではないか?ということです。「メーンディッシュ」を直訳して、

「メーン=主」+「ディッシュ=食」

というように勘違いしたのではないでしょうか?

ちなみに「メーンディッシュ」を引いてみると(『広辞苑』の見出しの表記は「メインディッシュ」)、

「西洋料理の献立の中心となる、魚または肉料理」

ですから、備後、いやビンゴ!ですね。

先に「メーンディッシュ」という言葉を知った人が、それを文字数を減らすためか、日本語風に言おうと思って、勝手に直訳した「主食」が、従来ある意味の「主食」とバッティングしている状況ですね。

でも、そもそも「メーンディッシュ」を日本語にしたら、「主食」ではなく、

「主菜」

ですけどね。もしかしたら、「主菜」と言うつもりで「主食」と言って(書いて)しまった、単なる間違いなのでしょうか?

(2015、2、3)

2015年2月 3日 19:30 | コメント (0)

新・ことば事情

5669「メディア担当大臣か?情報相か?」

 

イスラム過激派組織「イスラム国」に捕らわれていた後藤健二さんは、大変残念なことになってしまいました・・・。本当に残念です。

さて、その後藤さん解放に当たって「当事国」となったヨルダンの、

「モマニ大臣」

の肩書が、1月30日の放送を見ていたら「2通り」ありました。

(TBS)   情報相

(テレビ朝日) 情報相

(日本テレビ) メディア担当相

となっていました。「日本テレビ」だけが「メディア担当相」で、新聞なども「情報相」にしているようです。「情報相」の方が字数が少ないので、できたら、そちらにしたいなと思い、日本テレビに問い合わせてもらったところ、

「『メディア担当大臣』とは別に『情報科学担当大臣』もいるので、『情報相』とすると、どちらか分かりにくくなるため、『メディア担当相』としている」

という答えでした。そこで、「ミヤネ屋」でも「メディア担当相」とすることにしました。

この「メディア担当相」というのはつまり、

「宣伝相」

ということなんですかね?そして「情報科学担当大臣」は、

「IT担当相」

みたいなものなんでしょうか?

(2015、2、2)

2015年2月 3日 10:14 | コメント (0)

新・ことば事情

5668「しっかりと」

 

先日、タレントの三船美佳さん(32)が24歳年上の夫の歌手・高橋ジョージさんと離婚裁判になっていることを表明しました。その際の会見・・・というか囲み取材の際に話した言葉を聞いて「おや?」と思いました。彼女は、こう言ったのです。

しっかりと、時間をかけて考えた結果です」

この、

「しっかりと」

ですが、先日(1月18日)の民主党代表選挙の際に、当選した岡田克也新代表も挨拶でこう使っていました。

「代表選挙の結果は、まさしく3人が伯仲していた。その一人ひとりの気持ちを踏まえて、民主党がしっかりと政権交代を担えるだけの政党だと国民の皆さんに思っていただけるように、しっかりとした戦いを安倍自民党とやっていきたい」

ということで、「しっかりと」を「2回」使っています。しかし、

「『永田町用語』での『しっかりと』には、意味がない。あるいは正反対の意味を持つ」

とも言われています。中身のなさを隠すために「しっかりと」という言葉を、とりあえず入れると、

「なんだか、ちゃんとやっているように見えてくる『魔法の言葉』」

なんだそうです。言われて見れば「しっかりと」を抜いても、だいたい意味は通じますね。

そう考えると三船美佳さんの「しっかりと」も、本当に時間をかけて考えたのかな?という気もしないでもないですが、三船さんは「永田町の人」ではないから、そこまで勘ぐるのは失礼なのかもしれませんね。

(2015、1、30)

2015年2月 2日 20:11 | コメント (0)