新・読書日記 2015_002
『33年後のなんとなく、クリスタル』(田中康夫、河出書房新社:2014、11、30第1刷・2014、12、29第3刷)
1981年にベストセラーとなった「なんとなく、クリスタル」。当時読んだなあ。でも、ブランドの名前とかも全然わからず、「ケッ!」って思ったっけ。それから時が流れに流れて、「33年」!もう21世紀になっちゃったけど、現在の「なんクリ」を書いた。
33年前は、一橋大学の学生だった若者はその後、作家となり国会議員や長野県知事にもなった。そうして、当時付き合っていた「彼女」たち(もう50代のおばさんだ。著者も「還暦」が近い)と偶然、再会する。
この本の表紙の色は、薄いブルー。イメージするのは「ティファニー」に包み紙の色。タイトルの文字は「シルバー」で書かれているし、絶対「ティファニー」をイメージしてるね。「ティファニーで朝食を」のイメージで、33年経って再会した、「33年前の彼女たち=青春」への「オマージュ」なのではないか?
昔のように過剰な「解説=注意書き」には、政治家・田中康夫としてやってきたことや本音、小さな文字で記されている。しかし、それらを読まなくても、ワインの傾向とかも、内容が大体わかるようになったのは、33年という時の流れか。
最後に主人公は、美容室で頭を洗ってもらっていると過去のことを思い出すが、実はこの33年という時間の流れ=「半生」は、全部「夢」だったんじゃないか・・・そんな"夢オチ"を連想させるような終わり方でした。
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