新・ことば事情
5627「変敗」
日本マクドナルドの製品に異物が混入していた問題で、1月8日の「ミヤネ屋」の放送準備をしていたら、
「東京都に寄せられた食品などに関する苦情」(東京都福祉保健局、H24年度)
のデータが出て来ました。それによると、苦情は全体では4867件、うち「異物混入」に関しては681件という数字が出ていました。
そういった項目の一つに、
「腐敗・変敗」
というのがありました。「腐敗」は知っていますが、
「変敗」
という言葉は、初めて見ました。「へんぱい」と言えば、
「返杯」
しか思い浮かびません。さっそく国語辞典を引いてみましたが、『精選版日本国語大辞典』『広辞苑』『デジタル大辞泉』『明鏡国語辞典』『三省堂国語辞典』『新明解国語時典』『岩波国語辞典』『新潮現代国語辞典』には載っていません。
ネットの辞書の『デジタル大字泉』には載っていました。
「へん‐ぱい【変敗】」=[名](スル)食品の色や味が変わってしまって食用には適さなくなること。
まあ、大体想像していた通りですが、それだと「腐敗」でよいのではないか?とも思うわけです。それ以外で載っていないか調べてみると、「上野製薬」という製薬会社のサイトに載っていました。
「『腐敗』とは、微生物の増殖によって食べものの成分が変質し、食べられなくなる状態のことです。同じように微生物によって食べものの成分が変質する場合でも、人間にとって有用な場合には『発酵』と呼ばれます。『変敗』という言葉が使われることもあります。一般的に、たんぱく質が分解されて有害な物質を生成する場合を『腐敗』、炭水化物や脂肪が分解されて風味が悪くなり食用に適さなくなることを『変敗』と使い分けられます。」
とありました。そうだったのか、
「分解される物質」
によって使い分けられているのか!つまり、
*「腐敗」=たんぱく質が分解されて有害な物質を生成する場合
*「変敗」=炭水化物や脂肪が分解されて風味が悪くなり食用に適さなくなること
というわけですね。勉強になりました!