新・読書日記 2014_184
『空の走者たち』(増山実、角川春樹事務所:2014、12、8)
1964年東京五輪マラソン銅メダリストで、のちに自殺した「円谷幸吉」と、その故郷・福島県須賀川市を舞台に、2020年東京五輪まで、時空を超え、さらに須賀川に多いという「円谷」姓の、あの特撮監督・円谷英二に至るまで幅広く取材し、その想像の翼を広げた小説。実在の人物は登場するが、もちろんフィクション。著者は『勇者たちへの伝言』で、独自の世界を描く小説家。本業(?)は放送作家で、あの百田さんと同じ番組に携わっていた。ということで「『フィクション』と『ノンフィクション』って、一体なんだろう?」ということも、考えさせられました。
惜しむらくは、『奥の細道』の松尾芭蕉の絡みは消化不良で、要らなかったんじゃないかな?と。えらそうなこと言って、すみません。読後感、爽やかな一冊です。
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