新・読書日記 2014_176
『なぜ世界は不幸になったのか』(適菜 収、角川春樹事務所:2014、12、8)
著者は、週刊誌などのコラムではかなりの毒舌・辛口だが、この本は「哲学の本」なので、比較的理知的なというか、そんなに暴言なしで読めて勉強になる。
一番気に入ったのは、第2章「『言葉」の破壊が不幸な社会を生み出した」で、「ことばの破壊が行き着く先」として「ジョージ・オーウェル」が出て来る。これは「我が意を得たり」という感じ。『一九八四年』に出て来る「ビッグブラザー」の言葉、
「戦争は平和なり」「自由は隷従なる」「無知は力なり」
は深く考えさせられる。矛盾している中に真実あると、ジワジワわかる。
また第7章「民主主義の本質は反知性主義である」もなるほどと。「『民意に従え』は政治の自殺」だという。「『民意に従う』『国民の判断を仰ぐ』ことが正しいのなら、すぐにでも議会を解体して(注:「解散」ではない)すべての案件を直接投票(民主主義決)で決めればいい」というのも納得できる。「議会制民主主義=間接民主主義」を否定しているのだが、「直接民主主義」は、昔の「ポリス」のような小さな規模の自治体ならできるが、現在の日本のこんなに大きな自治体や国では無理である。それが分からんのか!?と、うなずいてしまいました。
star4_half