新・ことば事情
5615「サンかザンか?」
先日、「阿蘇山」が噴火した際に、「ミヤネ屋」で川田アナウンサーが、
「アソザン」
と「山」を濁って読みました。私は当然、
「アソサン」
は「濁らない」ものだと思っていたのですが、確認するとやはり「濁らない」のが正しい。知らなかったのでしょうね。ま、「勉強不足」と言ってしまえばそれまでですが、
「なぜ、濁ったのか?」
という原因を考えてみる価値はあるなと思いました。「濁る」か、「濁らない」かは、どうやって決まるのでしょうか!?
そこで、具体的な山の名前を思い浮かべてみて、「サン」と「濁らない」か、「ザン」と「濁る」のかを分類してみました。私がすぐに思いついた「山」は以下の通り。
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【サン(濁らない)】
阿蘇山=「あそサン」
富士山=「ふじサン」
御嶽山=「おんたけサン」
八甲田山=「はっこうだサン」
岩木山=「いわきサン」
岩手山=「いわてサン」
高野山=「こうやサン」
【ザン(濁る)】
比叡山=「ひえいザン」
天保山=「てんぽうザン」
【サン・ザン、両方ある?】
六甲山=「ろっこうサン」と「ザン」
金剛山=「こんごうサン」と「ザン」
【セン】
大山=「だいセン」
【ヤマ】
生駒山=「いこまヤマ」
うーむ、このくらいの量だと、あんまりわからないな。もう少したくさん、山の名前を分類できないかな?あ、そうだ、あれがあるぞ!
「日本100名山」
この山の名前を分類してみましょう!
ということでさっそくやってみたら、
「サン(山)」=32
「ザン(山)」= 2(大雪(タイセツ)山・鳳凰山)
「ダケ(岳)」=38
「タケ(岳)」= 6
「セン(山)」= 1(大山)
「ヤマ(山)」=16
「その他」 = 5(トムラウシ、八幡平、美ヶ原、霧ケ峰、早池峰)
という結果が出ました。
これで見ると、明らかに「サン」と「濁らない」山が多い!「濁る」のは、
「大雪(タイセツ)山」「鳳凰山」
の2つだけでした。
私が思いついた「ザン」と「濁る」ものを足してみると、
「大雪山」「鳳凰山」「比叡山」「天保山」「六甲山」「金剛山」
これらを見ていて浮かんだ共通点は、「大雪山」を除けば、「山」の前の部分が、
「ホーオー」「ヒエー」「テンポー」「ロッコー」「コンゴー」
というように「長音」になっているのです!もしかすると、
「『長音』の後は『濁る』傾向があるのではないか?」
そうすると「阿蘇山」は「長音ではない」ので「濁らない」のですが、「アソ」という「2文字」は安定しないので、ちょっと伸ばして「3拍(3音)」の「アソー」とすると・・・・、あーら不思議、
「アソーザン」
と「濁った方」が、自然な感じになりますね。これからの類推で、もしかしたら、
「『長音』の後は、『濁る』傾向がある」
「『山』の前の部分が『2文字』の山の名前は、『ザン』と『濁って』読みたくなる傾向がある」
のかなという気がしましたが、いかがでしょうか???