新・ことば事情
5607「少年か?青年か?」
フジテレビの知り合いから、こんな質問を受けました。
「アメリカのミズーリ州の18歳の黒人が、白人警官に発砲されて死亡した事件で、この18歳の黒人を『少年』としていますか?それとも『青年』ですか?」
あ!?全然気にしていなかった!微妙ですね。というのも、
「『少年』の定義」
は、法律によっても違いますし、「少年=未成年」ですが、「未成年=少年」とは限らないところが、ややこしい。また逆に、「青年」も「少年」の場合もあれば、「成年」の場合もあり、これまた、ややこしくなっています。(「青年」と「成年」も、音が「セイネン」で同じだから、余計にややこしい。)
体の大きさから言えば、「アメリカの18歳」と言えば、おそらく見た目は、
「青年」
でしょう。また州によって違うのかもしれませんが、「選挙権」などの権利から言うと、
「18歳=成年」
のところが多いでしょう。この「成年」は、「少年」ではなく「青年」ですね。ややこしいけど。
一方で「お酒を飲める」のは、
「21歳から」
のところが多いので、その面では、
「18歳は『未成年』」
かもしれません。これは、
「イメージとしての『少年』」
ですね。というように、
「アメリカは、日本と違う」
という面もあります。
グーグル検索(12月3日)では、
「ミズーリ・不起訴・黒人少年」=8万1600件
「ミズーリ・不起訴・黒人青年」=8万3900件
と拮抗しています。
ネットで「新聞・放送各社の表記」を見てみると、
「黒人少年」=NHK・TBS・日本テレビ(11月25日頃まで)・CNN
朝日新聞・産経新聞・
「黒人青年」=テレビ朝日・フジテレビ・日本テレビ(11月27日以降)
読売新聞・日経新聞・毎日新聞・中日新聞・赤旗
ウォールストリート・ジャーナル
となっていました。
日本テレビは「少年→青年」に変えたのかな?なぜだろう?
一般的には、「少年」としてほうが、加害者(「白人警官」)の罪が重く感じますね。
「『少年』でも『青年』でも良い」
という場合に、あえて「少年」を使うのは、そういった「イメージ操作」の意図がある場合もあります。もしくは「権利」ということを強く意識すると、やはり「少年」という表現になるのではないでしょうか?
そして、いま(12月4日)のお昼のNHKニュースでは、
「黒人少年」
で放送していました。