新・ことば事情
5600「健さん死す」
11月18日、映画俳優の高倉健さん(83歳)が今月10日に悪性リンパ腫のため亡くなっていたことが報じられました。「ミヤネ屋」でも18日と19日、そのニュースを扱いました。
11月19日のスポーツ紙は、どの新聞も健さんの訃報を1面トップで報じていました。各紙の見出しを見たら、こんな感じでした。
(サンケイスポーツ)健さん死す
(日刊スポーツ) 健さん死す
(スポーツ報知) 健さん死す
(デイリースポーツ)健さん逝く
(スポーツニッポン)健さん旅立つ
ということで、5紙中3紙が「健さん死す」と見出しが揃っていて、「デイリー」が「逝く」で、「スポニチ」が「旅立つ」でした。
こういったときに「口語」であれば、
「死ぬ」
なのに、なぜか「文語」の、
「死す」
が使われるのですね。たしかに、
「『文語』の方が"かしこまった感じ"がして『訃報』にはふさわしい」
気がします。
「死す」で思い出すのは、やはり、ルキノ・ヴィスコンティ監督の映画、
「ヴェニスに死す」
ですね。それと、大藪春彦の原作の映画、
「野獣死すべし」
でしょうか。主演の松田優作さん、映画「ブラック・レイン」では健さんと共演していますね。大阪でのロケ、昨日のことのように・・・とは言いませんが、「少し昔」という感じで。でももう、「キリンプラザ」も閉鎖されたし、「大阪府警」のビルも新しくなっちゃったし、ロケで使った建物も変わっていますね。だってあれは、
「昭和の最後の頃」
のロケでしたもんね。今はもうすぐ、
「平成27年」
ですし。松田優作さんも、健さんより先に若くして逝っちゃいましたし・・・。なんか、しみじみと"時代の流れ"を感じます。生涯現役の健さん、お疲れ様でした!合掌。