新・ことば事情
5598「グルジアとジョージア」
(2009年4月10日にこのタイトルを書いた際には「平成ことば事情3708グルジアとジョージア」)でした。
元ソ連の一員であった「グルジア」が、その名称を、
「ジョージア」
にしてほしいと主張しているのを私が知ったのは、2009年の4月でした。その際にメモしただけでほったらかしにしていたのですが、あれから5年半、どうやら「ジョージア」への「国名表記変更」が現実味を帯びて来ました。
10月下旬に、グルジアのマルグベラシビリ大統領が来日した際、大統領は安倍首相に、「ジョージア」へ国名の表記変更を依頼し、安倍首相もそれを受け入れる方向で検討することを約束したという報道が流れました。
「ジョージア」への国名表記変更に関しては、2014年10月7日の読売新聞夕刊「よみうり寸評」でも取り上げられたほか、11月13日の読売新聞の国際面でも、寺口亮一記者が、
「『ジョージア』の波紋」
と題して記事を書いています。それによると寺口記者は10月下旬にマルグベラシビリ大統領にインタビューしたとのこと。大統領は、安倍首相の対応に関して、
「我々の立場への敬意と思いやりの表明だった」
と喜びを隠さなかったそうです。
そもそも、なぜ「グルジア」ではなく「ジョージア」と呼んでほしいのか?というと、
「『グルジア』は『ロシア語の読み方』だから」
です。「グルジア」国民は「反ロシア感情」が強いために、
「『ロシア語での呼び方』は、受け入れられない」
というのです。しかし・・・英語読みの「ジョージア」というと、どうしても、
「アメリカのジョージア」
を思い浮かべてしまいますよね。「缶コーヒーの名前」にも「ジョージア」ってありましたし、
「ジョージア・オン・マイ・マインド」
なんて曲もありました。なんだか、場所のイメージが変わって来るなあ。
「グルジア・ワイン」
も有名なのに、これが、
「ジョージア・ワイン」
になると、コーヒーっぽく感じますよね?
寺口記者がインタビューで、
「もし、対露関係が改善されたら、また『グルジア』に戻すのですか?」
と聞いたら、大統領は、
「その可能性はない。ジョージアの名は、歴史的な選択だ」
ときっぱり答え、親欧米路線を歩む「強い決意」のほどを見せたそうです。
今後も「グルジア」が、いつ「ジョージア」になるのか、注目していきたいと思います。
"気分はジョージア"
ですね。