新・ことば事情
5595「ほぼほぼ」
最近、会議などでよく耳にする言葉に
「ほぼほぼ」
があります。アクセントは、「ほぼ」が「ホ\ボ」と「頭高アクセント」なのに対して、「ほぼほぼ」は、
「ホ/ボホボ」
と「平板アクセント」です。意味は、「ほぼ」と同じだと思うんですが、「ほぼ」でさえ「断定的」だと言うのでしょうか、その「一歩手前」というようなニュアンスがあると思います。「内定」ではなく、
「内々定」
みたいな感じですかね。私はこの言葉、使わないのですが。
グーグル検索では(11月13日)
「ほぼほぼ」=47万4000件
でした。そのトップに出て来た「実用日本語表現辞典」というサイトによると、
*「ほぼほぼ」=「ほぼ」を強めて言う表現。完全ではないが大体そうだと言える様子を意味する語。
とありました。また読売新聞の「発言小町」でも2011年の6月に、
「『ほぼほぼ』は正しい表現なのでしょうか?社長をはじめ、上司がやたらと使います。
意味は『ほぼ』と同じです。『ほぼほぼ』と聞くと、なんかイライラしてしまいます。」
という投稿が。それに対する回答としては、
「強調したい時にたまに使いますよ。『ほぼ』が99%だとすると『ほぼほぼ』は99.9999999999999...%というニュアンスです。他にも、『ごく少数』を『ごくごく少数』と言ったりしませんか?これも気になるのでしょうか。」
「同僚にも(使う人が)います。なんとなくですが、『ほぼ』だと『詰めが甘い』との批判を受けると心配していて、それをかわすために重ねているような気がしています。」
というように「強調のために使う」というな意見がある一方で、2011年6月の時点では、まだ「知らない」という意見も、たくさんあります。例えば、
「『ほぼほぼ』って言わないですよ。変!でも、どうやら妙なビジネス語(?)として一部で流行っているみたいですね。」
「ここで始めて知りました。驚きがありネットで見てみましたが、『あり』な言葉のようですね。」
というような意見です。
さっきの会議でこの「ほぼほぼ」を使っていた後輩のSデスクに、
「『ほぼほぼ』って、どんな意味で使ってる?」
と聞いたところ
「『ほぼ』と同じような意味だと思います。『強調』か?『婉曲』か?って言うと・・・うーん、どうだろう?」
「『内定』って言おうと『もう、決まり』って感じだけど、『内々定』と言うと『その一歩手前』という感じだと思うけど、それと同じような感じかな?」
「そうですね。それは言えると思います。ボクも10年前には使わなかった表現ですが、今は使っていますね」
という答えが返って来ました。
念のため『三省堂国語辞典』を引いてみると、「ほぼほぼ」という「見出し語」はなかったのですが「ほぼ」の語釈の中に、こんな一文が。
「俗に重ねて使う。」
あ!これは、ほぼほぼ、「ほぼほぼ」のことだ!
さすが飯間さん、"ほぼほぼ"目配りが届いていますね!