新・ことば事情
5593「マリーか?マレーか?」
ご存じのようにテニスの「ATPワールドツアーファイナルズ」に、世界ランク現在5位の錦織圭選手が出場しました。この大会は、その年のランキングで8位までの選手しか出られない、まさにトップオブザワールド、世界の強豪しか出られない大会です。出られるだけで、ものすごーくスゴイことなので。
その初戦、錦織選手は、何とこれまで3戦全敗だったロンドン五輪の覇者・イギリスのマレー選手に6-4、6-4のセットカウント2-0のストレートで勝ってしまったのです!スゴイ!!
さて、この相手選手の名前の表記が揺れています。
新聞は、「読売・朝日・毎日・産経・日経」の全国紙5紙とも、
「マリー」
でした。地方紙も「マリー」のようですが。これはおそらく「共同通信」が「マリー」なので、その記事のためだと思われます。
ところが、「テレビ」は私が見た限りでは、「日本テレビ・NHK・テレビ朝日」は、
「マレー」
なのです。この違いは???ネットで検索すると、
「フジテレビ」=マリー
「TBS」 =マリー
「時事通信」 =マリー
というように「マリー」派のようですね。「テレビ東京」「テレビ大阪」は検索しても出て来ませんでした。
また、ネット検索の中では、
「現地音に近いのは『マリー』」
という記述も。きっっと「リ」と「レ」の中間なんでしょうけどね。
外国人の人名をカタカナにするのは、本当に難しいですね。
テニスに詳しいMプロデューサーに聞いてみると、
「テニス関係者は『マレー』と言ってることが多いですねえ。でも、ああいう世界の一流選手は一年中、世界を転戦しているので、"どこに住んでいるか""どこが地元か"わからないぐらいですね。もちろん、それぞれ"出身国"はありますけど。転戦する国によって発音が違ったりするから、本人たちは特に気にしていないのかもしれません。でもその昔、『エドバーグ』選手は、アメリカを中心に世界中でそう呼ばれていたんですが、地元の呼び方である『エドベリ』にしてくれと要望して、変更されたことがありましたね。」
とのことでした。なるほどね。しかし、日本語の場合は、
「真理」
さんが、
「マレ」
さんになったら、別人ですけどね。
(2014、11、11)
(追記)
フジテレビ、ネットでは「マリー」でしたが、けさ(11月12日)の「とくダネ!」では、
「マレー」
で放送していました。
あとTBSとテレビ東京については、どちらを使っているか聞いてみたところ、「TBS」は、
「マリー」
で放送したとのこと。一方「テレビ東京」は、
「マレー」
でスポーツニュース(の原稿)も、実況ずっとやっているとのことでした。
テレビ朝日の中継に出て来た「松岡修造さん」も、
「マレー」
と言っていたと思います。
そうすると
新聞=「マリー」
放送=「マレー」(TBSのみ「マリー」)
と、ほぼきっぱりと分かれているんですね。おもしろいですねえ。
「本人」に、「どっち?」って、聞けないかな?