新・読書日記 2014_158
『仏果を得ず』(三浦しをん、双葉文庫:2011、7、17)
単行本は2007年11月に出ているそうです。『舟を編む』以降、三浦しをんの本をいろいろと読もうと、この本も以前に購入していたが読んでいなかった。しかし、ここへきて「大阪の本屋さんが一番売りたい本」として注目されているのと、大阪市が文楽への補助金をカットしたというタイミングでもあるので「読むなら、今!」と読んだ。おもしろかった!
「仏果」とは、「仏道修業によって得られる成仏の結果。さとり」(『広辞苑』)とある。それを「得ず」ですから、「悟りを開いていない」「まだまだ」ということですね。三浦しをんの本のタイトルは『舟を編む』でもそうですが、ひとひねりありますよね。
文楽の「大夫」は「語り」、歌うほうの人。高校の修学旅行で「人形浄瑠璃・文楽」を見て人間国宝の大夫の語りに「ビビビッ!」と来て弟子入りをするという、まあ、まれな体験をして10年ほど立つ若手が主人公。仕事に一途な中での恋や友情、お茶目で型破りな先輩たちとの交流、住んでいる"家"が、なんとラブホテルという、なんとも奇想天外な設定も面白い。楽しく読めて、ちょっと若返った気がする物語。
star4_half