Top

『道浦TIME』

新・読書日記 2014_157

『国家が個人資産を奪う日』(清水洋、平凡社新書:2013、5、15)

この本も、去年出たときに買って「読みさし」になっていたら、もう1年半もたって、「タイムリー」とは言えなくなってしまったが、その「時差」を考えながら読むのも、乙なもの。つまり1年半たって、著者の書いていることが「当たっているかどうか」の答え合わせをしながら読めるのだ。かなり意地の悪い読み方だが、最初からそうしようと思った訳ではない。帯の文字は、

「来(きた)るべき『その日』に いかに備えるか」

たしかにこの本が出たときと状況は変わっているが、かえって現状は、この本を読むのに適しているかもしれない。先日の日銀の80兆円まで市場に出す(国債を買う)という金融政策なんて、正に「国家が個人資産を奪う」につながるかもしれない。インフレで資産価値を目減りさせるという意味で。また「消費税」も同じく「個人資産」を奪う。「復興特別税」も既に払っているし、じわじわと「税金」が私たちの首を絞めて来ている。ゼイゼイゼイゼイゼイゼイゼイゼイと、あえぐ声が聞こえるようである。

また、気になったのは148~149ページの「いつか来た道」の話。

「戦前の例をひもとけば、太平洋戦争に突入した日本は、1942年に所得税と法人税の大増税を行った。そして敗戦と同時に国民の財産を奪い、さらに前述したように、47年に『財産税』の強化に打って出た。つまりあの太平洋戦争は、国民の税金によって遂行され、その敗戦処理も国民の税金で賄われたのだ。国民は、たとえ戦争によって生命は奪われなくても、敗戦によって丸裸になったことになる。今日の政府の政策も、すでに2014年からの消費税増税を決定したのは周知のとおり。さらに述べてきたように相続税や所得税、固定資産税の大増税も予定され、その先には『財産税』も見え隠れしている。すべては『いつか来た道』だ。」

気を付けよう。

 


star3_half

(2014、11、6読了)

2014年11月12日 22:26 | コメント (0)