新・読書日記 2014_156
『だからこそ自分にフェアでなければならない。~プロ登山家・竹内洋岳のルール』(小林紀晴、幻冬舎:2014、9、10)
「14(フォーテーィン)サミッター」
この地球に存在する「8000m級」の山「14座」すべてに登った人のことを、そう呼ぶらしい。竹内洋岳さんは日本人で初めて、世界でも29人目の「14サミッター」なのだ。その竹内さんと一緒に2600メートルほどの天狗岳に登りながら話を聞き、その山登りの様子を観察して書いたのが、この一冊。著者も山登りはしているそうだが「14サミッター」とは比べモノにならない。別世界の登山であると、思い知る。しかし、そこから学び取る教訓は多かったように思う。
読んでいて「そうなのか!」と思ったのは、
「山登りの経験は、積み上げるものではない。横に並べるものだ」
という言葉。「経験」というものは、まさに「山」のように「積み上げる」のかと思っていたが、8000メートル級の山は一つとして同じ山はないので、「経験」でこなせるものではない、と。ただ、全く経験がなくてはやはりダメ・・というあたり。難しいなあと思った。
それと、竹内さんはどこか「宗教家」のような、そんな空気を、本書を読んでいて感じた。
star4