新・読書日記 2014_152
『誰がタブーをつくるのか?』(永江朗、河出書房新社:2014、8、30)
永江朗さんと言うと、以前はわりと軽いネタを書くライターさんというイメージがあったのだけど、その後早稲田の教授になり、「広辞苑」の本なども書かれて、どんどん先鋭化しているような気がします。
1970年代のような表立った「ことば狩り」的なものはなくなってきたものの、現在の言論の自由は、どんどん地下に潜って・・・というか、組織の内部に浸透して「自粛」の方向に走っている。その鬱憤は、匿名のネットなどに向かっているのではないか?
その辺りの「タブー」に関する事情を分析して書いている。その中で、「ビジネスにまつわるタブー」では、「クライアントのタブー」についても書かれているが、「商業マスコミ」の限界と言うか、「配慮」という名前の自粛・タブーは絶対にある。仕方がない面もあると思うし、それは読者・視聴者も「メディアリテラシー」として分かっている人も多いのではないか?著者も「タブーと規制」の問題を最終章で取り上げているが、「タブー」は全部なくさなければいけない、とは考えていない。「良いタブー」と「悪いタブー」があるということか。いろいろと考えさせられる一冊。
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