新・ことば事情
5590「弁明か?釈明か?」
水泳の冨田尚弥選手が今年9月、韓国・仁川のアジア大会で、報道カメラマンのカメラを盗んだとされる事件で、11月6日、冨田選手が「僕は盗んでいない」という会見を行いました。その会見を指して、「弁明会見」と呼ぶのか?「釈明会見」と呼ぶのか?
辞書で「弁明」と「釈明」を引いてみましょう。(「広辞苑」)
*「弁明」=(1)説明して事理を明らかにすること。
(2)自分の立場や事情をはっきり述べること。弁解。
*「釈明」=(1)ときあかすこと。
(2)誤解や非難などに対して事情を説明して了解を求めること。
とありました。今回のケースはどちらか?
実は11月7日の「ミヤネ屋」では、
「弁明」
としたんですね。「無実」を主張する彼としては、「釈明」よりも「弁明」の方が近いのかな。「釈明」の(2)の、
「誤解や非難などに対して事情を説明して了解を求めること。」
だと、
「本当は、やったけど、いろいろ事情があってしょうがなかったんだよ」
というニュアンスも出て来るかなあという気がします。
「絶対やってない。説明させてほしい!」
という場合は「弁明」かなあ。
難しい"ことばの選択"になります。