新・読書日記 2014_152
『シモネッタのアマルコルド』(田丸公美子、文春文庫:2014、7、10)
イタリア語通訳の田丸公美子さんのエッセイ。超面白いんですけど、この本が出ていたことに気付かなかった。単行本は2011年に出ていたんですね。その文庫化。もともとはNHKのイタリア語講座のテキストに載っていたエッセイ。それをまとめたものだそうです。
この道40年の超ベテランの田丸さんは、ロシア語通訳だった故・米原万理さんの親友。タイトルの「アマルコルド」とは、フェリーニ監督の有名な映画のタイトルで『私は覚えている』という意味のロマーニャ地方の方言なのだそうだ。40年、あんなことや、こんなこと、いろいろと覚えてらっしゃるのですね。時代の移り変わりを感じつつ、冷や汗ものの、自分や他人の失敗&数々の誤訳などの舞台裏を、堪能できます。
「マルコムX(エックス)」と書かれたメモを同時通訳で「マルコメ」と読んだ人が、その後に出て来た「マラルメ」を「マラル・エックス」と読んだりとか。
通訳って、本当に幅広い知識と日本語の教養がないとできないのだなと。イタリア語通訳はイタリア語ができ来るだけではだめなのだ。なんでもそうだけどね。面白いです。
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