新・読書日記 2014_137
『ルーズヴェルト・ゲーム』(池井戸潤、講談社:2012、2、21)
おもしろかった。読み終わってのカタルシス。これ、「スポ根もの」だよね。
熊本日日新聞(2009年4月3日~2010年2月27日)や、神戸新聞、信濃毎日、中国新聞等に順次連載されていて、単行本が出てすぐに買ったのに、読んでいない間に文庫本まで出ちゃった。その後、テレビドラマにもなった。他局だけど視聴率が良かった。ようやく読みました。読み始めたら440ページを2日で読み終わりました。
青島製作所という会社が舞台なのだけど、その創業者にして会長の言葉が深い。
「働くということ、社員と会社の関係、そして野球という娯楽に対する考え方。かつて社員たちが全員で共有していたほぼ単一的な価値観が、世の中の変化とともに多様化していったんだ。同時に野球部に対する社内の見方も変わっていったような気がする」(319ページ)
これは、作者の心の声なんじゃないのかな。
そして「野球で一番おもしろいとされるスコア」は、
「八対七だ。」「フランクリン・ルーズヴェルト大統領が、最もおもしろいスコアだといったというのがそもそもの起源でね。ルーズ・ヴェルトゲームだ。」
たぶん、作者はこの言葉を知った時に「これで書ける!」と思ったのではないか。これがタイトル(書名)であり、「キモ」でもあり、「始まり」だったのではないかな。それを知れば、結末もおのずと見えて来ますよね。
それと「プロローグ」と「エピローグ」を除くと「9章」から構成されているのも、あきらかに「野球」を意識した構成ですね。ということで、「7回ウラ」あたりから、それまでの苦労が報われて、カタルシスを楽しめますよ。それまでは我慢して(いや、我慢しなくても「早く先を読みたい!」と思うと思いますが)読みましょう!