新・ことば事情
5563「濁流」
御嶽山の噴火に伴って、近隣に火山灰が降り注いでいます。その火山灰が流れ込んだ、もともとは「清流」であった川が、
「泥の川」
になっている様子(「流れ」はそれほど速くない)を指して、きょう(9月29日)の「ミヤネ屋」で
「濁流」
というイメージスーパーが発注されていたのを事前チェックの際に見つけましたが、違和感がありました。
「泥流」
ならばそれでいいかなとは思いますが。「濁流」は文字通り「濁った流れ」ですが、単に濁っているだけでなく、
「勢いのある流れ」
というイメージが私はあります。『広辞苑』で「濁流」を引くと、
「にごった水の流れ」
としか書かれていませんが、用例には、
「濁流に呑まれる」
とあります。トロトロ流れる泥の川では、「呑まれる」ことはないでしょう。
また、『明鏡国語辞典』では、
「にごった川の激しい流れ」
とあります。これが本来の「濁流」であろうと思います。そもそもなぜ「濁って」いるかと言うと、大雨が降って泥を一緒に流して来るからです。ですから、流量も増えているに決まっている。火山灰で濁るケースは濁流には含まれないと思います。
ちなみに「濁流」の反対語(対語)は、
「清流」
で、こちらは単に「清い」だけでなく、
「流れもそれほど激しいものではない」
と思います。「春の小川」のように「サラサラ流れる」のが「清流」ですね。