新・読書日記 2014_127
『殺人犯はそこにいる~隠蔽された北関東連続幼女誘拐殺人事件』(清水潔、新潮社:2013、12、20初版・2014、2、20第6刷)
DNA型の再鑑定によって、無期懲役から一転、無罪となった菅家さんの足利事件。実は北関東ではその前後に相次いで幼女が行方不明になり殺害されるという事件が相次いでいた。
1979年栃木・足利市 5歳(殺害)
1984年栃木・足利市 5歳(殺害)
1987年群馬・尾島町 8歳(殺害)
1990年栃木・足利市 4歳(殺害)
1996年群馬・太田市 4歳(行方不明)
菅家さんの足利事件は、1990年の事件である。著者は、それらの事件をひとつながりのものだと見て解決に取り組んできた、日本テレビの記者だ。もとは新潮社の写真週刊誌『FOCUS』の記者で、埼玉の「桶川ストーカー殺人事件」の解明に努めた実績もある。いかに警察や検察が、犯人をでっち上げて行ったか、疑念が生じた後も、それを守ろうとしたかが、克明に記されている。「事実は小説よりも奇なり」ということが本当にその通りだと思う。菅家さんは無罪放免されたのだが、実は犯人はまだ捕まっていないのだ。タイトルは、まさにその状況を示している。
「科学」という看板を掲げることで、「だから間違うはずがない」という思い込みはコワイ。まさに「科学捜査神話」は、なんとしてでも守られねばならない、ということなのだろう。客観的視点が入らなくてはならない。
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