新・ことば事情
5557「道浦様の電話で間違いないでしょうか?」
ある日、自宅にかかって来た電話。いきなり若い男の声で、
「道浦様のお電話で、間違いないでしょうか?」
「・・・」
まず、名を名乗れ!
そもそもお前は「道浦の電話」に用があるのか、「道浦」に用があるのか、どっちだ?俺は「道浦」で「人間」だが、「道浦の電話」ではない。誰にモノを言ってるつもりだ?
・・・と思ったけど、大人だから、そんなことは言いません。(時々言うけど)
ただ一言、
「何の用ですか?」
と言うと、相手はその一瞬の無言に殺気を感じてビビったのか、
「す、すみません、間違えました」
と言って電話を切ってしまいました・・・。
その10秒後に、また電話がかかって来て、同じ若い男の声で、今度は、
「○○塾の××と申しますが、△△君(息子の名前)は、いらっしゃいますか?」
息子はいなかったので、妻に代わろうと思い、
「少々お待ちください」
と言って受話器を妻に渡しました。
よく考えると、昔は、
「道浦様のお宅ですか?ご主人はご在宅でしょうか?」
というような聞き方をしていたのですが、これは電話が、家にある、
「固定電話」
だったからですね。しかし、今や主流は「携帯電話」。若い人の中には「固定電話」を使ったことがない人もいるかもしれません。それほどでもなくても、「携帯電話」で話すことが身についていることは間違いない。すると、この
「道浦様のお電話で、間違いないでしょうか?」
という話し方は、
「携帯電話での話し方」
なのではないか?「携帯」では、相手が「家」にいるかどうかわかりませんし、家にいないことのほうが多いでしょう。そこで、
「道浦様のお電話」
という確認する言い方が出て来たのではないでしょうか?
でも「電話」なんて言わなくても、
「道浦様でしょうか?」
でいいと思いませんか?私は、こちらの話し方を勧めますね。