新・ことば事情
5555「近キョリ恋愛」
会社の、他の人の机の上に置いてあった映画のチラシに、こんな文字が。
「近キョリ恋愛」
それを見て思ったこと。
「フツウーやんか!」
そして、なぜ「近距離恋愛」という言葉が出て来たか考えました。
思うに、遠く離れていても続く恋愛を
「遠距離恋愛」
と呼ぶようになり、それがロマンと憧れを持って小説や映画、ドラマなどで取り上げられる中で、「従来の恋愛」をクローズアップする際には「対語」として「遠距離恋愛」があるので、「『遠距離』の対語」である「近距離」が出て来て、
「近距離恋愛」
という言葉になったのではないか。しかし、新しい造語である上、そのまま映画のタイトルにしたのでは、当たり前すぎる。また「距離」という漢字が画数が多くて重たい。そこで、それをカタカナで「キョリ」とすることで、
「近キョリ恋愛」
という、なにげないけれどもキャッチ―な見出し(タイトル)が出来たのではないか?と。
そして、これは「従来の電話」に対して「携帯電話」ができて定着する中で、従来の家にある固定電話を、
「家電」
と呼ぶようになったのと似ているなと。
また、最近は従来の紙の書籍に対して「電子書籍」が登場。更にそれが、
「電書」
と略されるほど普及してきた。それに対して「従来の本」を、
「紙の本」
と呼ぶことも増えて来た現状と似ているなと思ったのでした。