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『道浦TIME』

新・ことば事情

5555「近キョリ恋愛」

 

会社の、他の人の机の上に置いてあった映画のチラシに、こんな文字が。

「近キョリ恋愛」

それを見て思ったこと。

「フツウーやんか!」

そして、なぜ「近距離恋愛」という言葉が出て来たか考えました。

思うに、遠く離れていても続く恋愛

「遠距離恋愛」

と呼ぶようになり、それがロマンと憧れを持って小説や映画、ドラマなどで取り上げられる中で、「従来の恋愛」をクローズアップする際には「対語」として「遠距離恋愛」があるので、「『遠距離』の対語」である「近距離」が出て来て、

「近距離恋愛」

という言葉になったのではないか。しかし、新しい造語である上、そのまま映画のタイトルにしたのでは、当たり前すぎる。また「距離」という漢字が画数が多くて重たい。そこで、それをカタカナで「キョリ」とすることで、

「近キョリ恋愛」

という、なにげないけれどもキャッチ―な見出し(タイトル)が出来たのではないか?と。

そして、これは「従来の電話」に対して「携帯電話」ができて定着する中で、従来の家にある固定電話を、

「家電」

と呼ぶようになったのと似ているなと。

また、最近は従来の紙の書籍に対して「電子書籍」が登場。更にそれが、

「電書」

と略されるほど普及してきた。それに対して「従来の本」を、

「紙の本」

と呼ぶことも増えて来た現状と似ているなと思ったのでした。

(2014、9、10)

2014年9月10日 15:45 | コメント (0)