新・読書日記 2014_122
『歌舞伎 家と血と藝』(中川右介、講談社現代新書:2013、8、20)
夏休みの最中、最後に読み終えた本。読み終わったときには、夏休みは終わっていた。でも、夏休みのような、まとまった時間のある時に、ある程度一気に読まないと読めないほど、内容の濃い本だった。新書だが、450ページもの厚み。
タイトルの「家と血と藝」というのは、なんだかキリスト教の「父と子と聖霊」の「三位一体」と似ているような。たしかに中を読んでみても、そういう部分が感じられた。歌舞伎の「家」の名前は代々継がれているが、必ずしも「血縁」だけで「伝統」がつながっているわけではないし、「血」はつながっていても「藝」はつながらなかったり。また、当然の様に「日本の一番有名な家」である「皇室」にも思いをはせた。
そして、市川團十郎家、尾上菊五郎家、中村歌右衛門家、片岡仁左衛門家、市村羽左衛門家、守田勘彌・板東三津五郎家、中村吉右衛門家、松本幸四郎家という、現代の歌舞伎の中心となっている人名たちの流れが分かった上で、いかに「歌舞伎」が「市川宗家」=「團十郎」を中心に成り立っているかという事が分かった。また、その時代、時代を仕切ってきた(「藝」だけでなく、「政治力」を持って歌舞伎界を仕切るという意味で。その影響力も)役者たちの系譜もわかった。覚えきれないけど。そんな中で、「中村勘三郎の死」というものの「マイナスの意味の大きさ」もわかった。
大変勉強になった一冊でした。
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