新・ことば事情
5553「暦の上では2」
9月9日の『関西情報ネットten.』で、女性リポーターが、
「9月に入り、暦の上では秋ですが」
という原稿を読んでいました。それを聞いて「おや?」と思いました。
ふつう、この場合の「暦(の上では)」というのは、
「中国の古い暦=二十四節気」
を指すのではないでしょうか?つまり、
「現在の8月上旬の二十四節気である『立秋』」
を過ぎてもまだまだ暑いというような場合に使うのです。
「現在の暦=太陽暦のカレンダーで『9月』」
になったら、これは、「暦の上では秋」ではなく、
「実際に秋」
だと思いますが、いかがでしょうか?
たしか、この「暦の上では」は10年以上前に書いた覚えがあります。その際に、まだそれほど有名じゃなかった「池上彰さん」に質問の手紙を出して、返事をもらった覚えがあります。検索してみると・・・出て来ました、「2000年の8月」。もう14年前でした、
「平成ことば事情149暦の上では」
それによると、2000年の8月7日が「立秋」で、「暦の上では今日からもう秋」。その「暦の上では」に関して、『日本語の「大疑問」』(講談社)という本で「池上彰さんというNHKの子供向けニュースのキャスターをしている方」が書かれた、と私は書いています。池上さんは「"暦の上"とはどんなカレンダー?」という質問を子ども向けには、
「中国から伝わった昔のカレンダーの言い方で、この日になると春になると
考えられています。」
という形にしたそうです。この「中国から伝わった昔のカレンダー」とは、何なのか?太陰暦のことなのか?分からなかったので、当の池上さん宛てに手紙を出したところ、大変丁寧なお返事をいただき、そこには、
「二十四節気のことを指しています」
と書かれていました。懐かしいなあ。