新・ことば事情
5551「小学生ぶり」
9月2日、テレビで、東京・代々木公園でロケをしていたタレントの青木英李さんが、デング熱に感染していたというニュースが流れていました。その青木さんのブログにはこう書かれていたそうです。
「小学生ぶりに虫取りをしたよ。」
この中の、
「小学生ぶり」
という表現に違和感がありました。普通は「○○ぶり」という表現の「○○」には、
「○年」「○か月」「○週間」「○日」「時間」
という「時間」が入ります。「年」「月」「週」「日」「時間」という単位は、全て、
「『時間』の単位」
です。9月4日、全米オープンテニスで「ベスト4進出」を果たした錦織(にしこり)圭選手は、日本人としては、
「96年ぶりのベスト4」
ですが、こういった使い方が正しい使い方です。
もちろん「小学生」は「時間」ではありませんから、もし、どうしても「小学生」という言葉を使いたいのであれば、
「小学生のとき以来」
とすべきです。しかし、俗にはこの「小学生ぶり」のような使い方がされることがありますね。
「おとといぶり」「先月ぶり」
のような表現、よく耳にします。グーグル検索(9月4日)してみましょう。
「小学生ぶり」 =7万6500件
「おとといぶり」=1万0800件
「先月ぶり」 =1万6100件
ちなみに「時間の単位」であっても、余りにも短い時間である「○分」「○秒」は、「ぶり」という、
「ある程度、長い時間をおいて」
という意味合いにそぐわないので、使いません。
「久しぶり」
の感覚が必要です。この「久しぶり」も、「久しい=長い時間」が「ぶり」の前に付いたものですね。
そういえば、きょう「9月4日」は、「関西国際空港開港」から20年。長い時間がたったものですね。きのうのことのように思うけれども。
最後になりましたが、面識はないけど青木さん、早くよくなって、
「○日ぶり」
に仕事に戻れることを、お祈りしています。