新・ことば事情
5550「三行半」
9月2日の「ミヤネ屋」で、ASKA被告の妻が、
「ASKA被告に三行半」
という言葉(表記)が出て来ました。この「三行半」は、
「みくだりはん」
と読みます。「熟字訓」(「老舗」を「しにせ」と読むようなもの)です。
「三行半」とは、ご存じのように、江戸時代の
「離縁状」
で、その文面が「3行半」だったところから、この表記があるのですね。
しかし、常用漢字表にはそういった読みがないので、読売新聞社の、『読売スタイルブック2014』では、
「三下り半」
と書くことになっています。しかし、今回はルビを付けて、
「三行半(みくだりはん)」
として放送しました。実は前の日に、翌日の「ラテ欄」の番組予告を考えていたMチーフプロデューサーが、
「三行半」
という表記を使いたがっていたのを知っていたのです。でも、新聞の「ラテ欄」では表記が厳しく決まっているので、仕方がなく、
「三下り半」
にしていたんですよね。改めて、本来の「三行半」とは、
「江戸時代、庶民の間で夫から妻または妻の父兄にあてた離縁状の別称」(『精選版日本国語大辞典』)
です。つまり「夫→妻」へ出す物なので、その意味では、
「ASKA被告の妻→夫ASKA被告」
というのは、正確には「三行半」ではありません。
しかし、そこから転じて一般的には、
「離縁する事。離縁されること、また比喩的に、関係を絶つこと」
とあるので、まあ「OK」でしょう。