新・ことば事情
5548「ボーっと見つめる」
目医者さんの定期検診で、看護師さんと言うか女性の白衣を着た方が、機械を操作して検査を行ってくれます。何か覗き込む機械の所に顎を載せ額を当てていると、
「はい、ボーっと、真ん中の十字を見つめてください。あんまり見つめると瞳が小さくなるので、あまり見つめないようにしてくださいね」
と言われて戸惑いました。だって、「見つめたら」、「ボーッと」ではなく、
「凝視」
ではないか。一体全体、
「ボーッと、見つめないで見つめる」
とはどうすればいいのか?無茶を言うな!と思うと視線が乱れて、なかなか検査がはかどりません。係の女性が、
「もう少し十字を見てください、そうです、そうです」
と言うので、疑問をぶつけてみました。
「ボーっと見ていると、十字を見つめられないんですけど・・・」
「あ、じゃあ十字を見つめてください」
理解できないまま、検査は終わったのでした・・・。
治療や検査は、患者さんと直接対面するので、「わかりやすい表現を使う」ということが重要なんだなと、改めて思いました。