新・読書日記 2014_115
『紙つなげ!彼らが本の紙を造っている~再生・日本製紙石巻工場』(佐々淳子、早川書房:2014、6、25)
ことしの夏休み中に読んだ6冊の内の1冊。
著者は第10回開高健ノンフィクション賞受賞作『エンジェルフライト』の著者。
6月ぐらいに、ツイッターでとてもほめている文章を見て、読んでみたいなと思っていたのだが、なかなか書店では見かけなかった。その後、新聞や週刊誌の書評欄でもかなり取り上げられてきたころ、ようやく書店で発見、即購入して読んだ。
日本製紙の石巻工場は、日本の雑誌や漫画本の「紙」のかなりの割合を作っている工場。ここでしか出来ない「紙」というものもあるそうだ。この本を読んで初めて「そうか、あの本の紙も、石巻で作られていたんだ!」と驚きと感銘を持って受け止めた。
その工場が、東日本大震災の津波で大きな被害を受けた。東日本大震災直後、「紙」が不足しているということは、小耳にはさんでいた。実際、週に1回通っていた甲南大学でも、レジュメをコピーする場所に「震災で紙が不足していますので、大切に使ってください!」という張り紙がされていたのを覚えている。あれは、ここ(石巻)のことだったのか!
津波被害を受けた機械・工場を、いかに使命感を持って復興し、また「紙」を生産することができるようになったかまでを描くドキュメント。
「これはもしかしたら、映像化して『ドキュメンタリー番組』にできるのではないか?」と思いながら読んだのだが、読んでいるうちに、
「これは、もし映像化するとしたら、『ドキュメンタリー』ではなく『ドラマ』だな」
と思うようになりました。
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