新・ことば事情
5538「駅ビル」
報道局の新人記者クンに質問を受けました。
「大阪駅は、『駅ビル』って言わないんでしょうか?」
「え?うーん、まあ言わないかな。大阪駅前ビルはあるけどね」
「京都は『京都駅ビル』って言うじゃないですか。『駅ビル』ってどういうものを言うんでしょうか?」
「あんまり考えたことなかったなあ。『京都駅ビル』は固有名詞なんじゃないの? よく知らないけれど。大阪の駅のビルは"巨大な複合体"でしょ。『一つのビル』と言うよりも、南側のもともとあった駅のビルと、北側の『グランフロント大阪』とは、ビルの所有者も違うんじゃないか?そうすると、一体として『駅ビル』とは呼べないんじゃないかな。そもそも『駅ビル』って、もう少し小さめのビルのような気がするなあ」
「そうですか」
という会話が、男子トイレで用を足しながら交わされました。
グーグルに「駅ビル」という単語を入れて出てきた候補には、
「新横浜駅ビル」「錦糸町駅ビル」「武蔵小杉駅ビル」「吉祥寺駅ビル」「八王子駅ビル」「京都駅ビル」「品川駅ビル」「蒲田駅ビル」「相模大野駅ビル」「五反田駅ビル」
がありました。
国語辞典も引いてみました。
「一部を駅舎施設、他の部分をデパート・ホテルなどとして使用するビルディング」(広辞苑)
「駅舎をふくむ、多くの商店が入ったビル」(三省堂国語辞典)
「一部を駅舎として江用い、他の部分をデパート・食堂・商店・ホテルなどとして用いるビル・ステーションビル」(新明解国語辞典)
「鉄道の駅のあるビル。特に、その一部を商店街などに利用しているときにいう」(精選版日本国語大辞典)
などと載っていました。グーグル検索では(8月21日)、
「駅ビル」 =116万0000件
「ステーションビル」= 54万9000件
「ターミナルビル」= 31万5000件
でした。「ウィキペディア」で見ると、こうありました。(=コピペ)
『駅ビル(えきビル)あるいはターミナルビルは、鉄道駅の駅舎を大規模化し、商業施設など駅機能以外の機能を持たせた建物のことである。特に日本において発達している。プラットホーム等に比べ駅の「顔」として紹介されることが多い。多くの場合、テナントとして百貨店をはじめとする各種の店舗、企業のオフィス、ホテルなどを入れている。駅ビルに入居するテナントは駅の利用者層に応じて様々であり、観光客の利用が多い駅では、駅ビル内に地元商品、土産物を取りそろえた店もある。都心にある特に大規模な駅ビルでは下層階に商業施設、上層階にホテルやオフィスを入居させる例も見られる。
建物全体の規模の中で駅舎としての性格が小さくなる場合もあり、「駅ビル」と「駅に隣接し、駅と結ばれているビル」を厳密に区分して定義することは難しい。』
「駅ビル」というネーミングは「京都駅ビル」の時代、たしか1997年ぐらいかな、15年ぐらい前で終わっていたのかもしれません。(もちろん、いまも各地に「駅ビル」はあるのですが。)
ちなみに大阪は
「大阪ステーションシティ」
で、「駅ビル」という「ビル」から「シティ」に規模が大きくなった感じですね。